2025 宅地建物取引士受験セミナー (21)
住宅新報 2025年6月10日 号 9面

【問題3―1】
次の記述のうち、令和7年4月1日現在施行されている民法の条文に規定されていないものはどれか。
(1)当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない旨。
(2)当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所はその額を増減することができない旨。
(3)弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済することができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときはこの限りではない旨。
(4)土地の所有者は、他人が所有する設備を使用しなければ、水道水の継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるに必要な範囲内で、他人が所有する設備を使用することができる旨。
【問題3―2】
A、B及びCが甲建物(以下この問において「甲」という)を共有している場合(当該持分を各3分の1とする)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)Aは、B及びCの合意がなければ、甲の形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な変更を行うことができない。
(2)甲が第三者Eの不法行為により損傷した場合、AはB及びCの持分については、Eに対し損害賠償請求権を行使することができない。
(3)甲がFによって不法に占拠されている場合でも、Aは単独でFに対して、甲の明渡しを請求することができない。
(4)A、B及びCは、いつでも甲の分割を請求することができるが、5年を超えない期間であれば、分割をしない旨の契約をすることができる。
【問題3―3】
Aを委任者、Bを受任者とするAB間の契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)BはAの承諾を得た場合に限り、復受任者を選任することができる。
(2)BはAに少なくとも2週間に1回以上の割合で委任事務処理の状況を報告しなければならない。
(3)AB間の契約が無償である場合、Bは自己のためにするのと同一の注意をもって委任事務の処理をすれば足りる。
(4)AB間の契約が有償である場合、Bの責めに帰すべき事由によって委任事務の履行をすることができなくなったときでも、Bは既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
【問題3―4】
AがBから継続的に融資を受けることによって生じる債務の担保として、Aが所有する土地にBの根抵当権を設定し、その設定登記をした。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)Aは、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を得なければ、Bとの合意により、元本の確定前に被担保債権の範囲を変更することができない。
(2)Bは、総額が極度額の範囲内であっても、被担保債権の範囲に属する利息の請求権については、その満期となった最後の2年についてのみ、根抵当権を行使することができる。
(3)元本の確定前において、Bから被担保債権の範囲に属する権利を取得したCは、その債権について当該根抵当権を行使することができる。
(4)Aは当該根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。
【問題3―5】
AがB所有の甲建物を無償で借りる契約を書面で締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)ABが当該契約の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、当該契約は、Aがその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
(2)台風で甲建物の屋根の一部が破損した場合、その修繕費用はAが負担する。
(3)Aはいつでも当該契約を解除することができる。
(4)Bが甲建物をDに売却し、その旨の所有権移転登記を行った場合、Aがその所有権移転登記前に甲建物の引渡しを受けていていても、Aは、使用貸借契約をDに対抗することができない。
【問題3―1】 正 解 (2)
(1)は民法の条文に規定されている。
したがって、譲受人は、譲渡制限特約を知って取得しても債権者となる。ただし、その場合、債務者は、譲渡制限特約を理由として履行を拒絶できる。民法466条2項・3項。
(2)は民法の条文に規定されていない。正解。
損害賠償額の予定は認められている。ただし、「この場合において、裁判所は、その額を増減することができない」旨の規定はない。同法420条。
(3)は民法の条文に規定されている。
なお、正当な利益を有する者(法的利害関係のある者=保証人など)は、債務者の意思に反しても弁済することができることに注意。同法474条2項。
(4)は民法の条文に規定されている。
「継続的給付を受けるための設備の設置権・使用権」として、相隣関係に規定されている。同法213条の2第1項。
【問題3―2】 正 解 (1)
(1)は誤りで、正解。
共有物の形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な変更は各共有の持分の価格に従い、その過半数で決することができる(民法252条1項)。したがって、B又はCどちらか一方との合意があればできる。
(2)は正しい。
共有物に対してなされた不法行為についての損害賠償請求権は、各共有者の持分権に基づくものであることから、各共有者は、自己の持分についてのみ、不法行為者に対し損害賠償請求権を行使することができる(最判昭41.3.3)。
(3)は正しい。
共有物の不法占拠者に対する明渡し請求は、保存行為に該当する。したがって、Aは単独でFに対して、甲建物の明渡しを請求することができる(大判大10.7.18)。同法252条5項。
(4)は正しい。
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は、分割しない旨の契約をすることができる。同法256条1項。
【問題3―3】 正 解 (4)
(1)は誤り。
受任者は、委任者の許諾を受けたとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。民法644条の2。
(2)は誤り。
受任者は、有償・無償を問わず委任者の請求があったときは、いつでも委任事務の処置の状況を報告しなければならない。また、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない(同法645条)。定期的に報告する必要はない。
(3)は誤り。
委任においては、有償・無償を問わず、受任者は善良な管理者の注意義務をもって委任事務を処理しなければならない。同法644条。
(4)は正しく、正解。
委任契約が有償である場合、受任者の責めに帰すべき事由によって委任事務の履行をすることができなくなったときでも、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。同法648条3項1号。
【問題3-4】 正 解 (4)
(1)は誤り。
元本の確定前においては、根抵当権者と設定者の合意により、被担保債権の範囲を変更することができ、このとき、後順位抵当権者その他の第三者の承諾は、不要である。民法398条の4第1項・2項。
(2)が誤り。
根抵当権においては、あらかじめ極度額が定められており、他の債権者を害する心配がないので利息が2年分を超える場合でも、極度額の範囲内であればすべて担保することができる。同法398条の3第1項。
(3)は誤り。
元本の確定前の根抵当権は随伴性を有しない。したがって、元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。同法398条の7第1項。
(4)は正しく、正解。
根抵当権設定者は当該根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。同法398条の19第1項。
【問題3―5】 正 解 (2)
(1)は正しい。
当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。民法597条2項。
(2)は誤りで、正解。
借主は建物の通常の必要費を負担する(同法595条1項)。通常の必要費とは目的物を使用収益するについて通常必要とされる費用である。本肢の修繕費は通常の必要費とはいえないので、貸主Bが負担する。
(3)は正しい。
借主は、いつでも契約を解除することができる。同法598条3項。
(4)正しい。
使用貸借には、賃貸借のような対抗力は認められていない(民法605条参照)。したがって、たとえ先に引渡しを受けていても、借用物について所有権移転登記を受けた第三者に対して対抗することができない。
























