住宅ジャーナリスト櫻井幸雄 慧眼を開く 第10回「パークホームズ大倉山ザ・テラス」
住宅新報 2025年6月10日 号 4面
三井不動産レジデンシャルと日本郵政不動産が事業主となる「パークホームズ大倉山ザ・テラス」は横浜市港北区に建設される7階建て全83戸のファミリー向けマンション、そして驚くほど工夫の多い新築物件である。
一例を挙げると、バルコニーの軒裏を木質に飾る工夫がある。といって、軒裏を木質にする事例は以前からあった。それ自体は珍しくないが、今回はすべての軒裏を木質にするのではなく、一部住戸の軒裏だけ木質にする工夫を提案している。
その結果、外観に変化が出て、なんともいえない魅力が生じる。三井不動産レジデンシャルからパースを提供いただいたので、どのように魅力的かは写真を参照いただきたい。
軒裏の一部を木質にするだけで、これほど個性的になるのか、と驚くほどである。
加えて、一部住戸のLDに「ヌック」を配置している。これも、なかなかの工夫だ。
ヌックといっても、従来のように、2畳とか3畳のサイズではない。約0.8畳のサイズで、「リビングの一画に設けられた家事スペース」のバリエーションと考えれば分かりやすいだろう。
1畳程度の収納スペースをアレンジして、デスクと棚を配置。家事室としても使えるし、収納スペースとして使ってもよい、としたアレである。
家事スペースは扉付きが多かったが、「パークホームズ大倉山ザ・テラス」で提案される「ヌック」には壁がない。その代わりに、床をリビングよりも20センチほど高くしてある。
その効果で、隠れ家的な印象が生じる。子供は喜んで入り込むだろう。兄弟が折り重なってゲームや読書を楽しむ、そこに休日のパパが加わって……と、微笑ましい光景が想像される空間である。
これは以前から感じていることだが、ディベロッパーの特に開発部門の方にはロマンチストが多い。マンションを購入したら、こういう生活をしてもらいたい、と思い描く光景がポエジーなのだ。
それ以上書くと、小っ恥ずかしい思いをする人が出てくるかもしれないので、ここまでにするが、少なくとも「このマンションを転売してもうけていただきたい」などということは考えないのである。
そういう意味で、「パークホームズ大倉山ザ・テラス」は、マンション開発が正常な方向に戻ってきたことを感じさせてくれる。
好ましい方向性だと思っていたら、サイトで「マンション購入者は将来高く売れること重視」という主旨の記事タイトルが目に入った。アンタらは、まだしばらくそっちの方向なんでしょうねえ。























