住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄 慧眼を開く 第3回 もうけと一線画す民泊需要
住宅新報 2025年4月15日 号 4面
「民泊マンション」には、一般的な「民泊」とは異なる目的と存在意義がある。それは、「観光地として人気がある場所で、新築マンションをセカンドハウスとして手に入れる賢い手段」という側面があること。「民泊でもうけよう」とは考えない人をターゲットにしているわけだ。
たとえば、沖縄の那覇や北海道の札幌で、新築の民泊マンションを購入する。その住戸は年間180日、民泊として稼働させることができる。
そこから上がってくる利益は、もうけを出すには至らない。1年間フルに稼働させれば、十分な利益が出るのだが、1年の約半分=180日しか稼働させられないため、もうけは小さくなる。
利益を出すには至らず、せいぜい購入代金のローン返済額をまかなう程度に収まる……それでよい、と考える人に買っていただきたい、というのが民泊マンションの方向性となる。
どうしてももうけを出したい、と考える場合、民泊として稼働できる180日以外で、マンスリーで貸す方法がある。マンスリーで貸すのは賃貸の一種となるので、宿泊業である民泊とは別の利用というわけだ。
しかし、これは「そういう考え方もある」というもので、グレー扱いされている。ちなみに、ウィークリーで貸すのは宿泊業の範疇(はんちゅう)に入り、完全にアウト。つまりブラック扱いとなるという解釈が主流だ。
マンスリーで貸すのがぎりぎりセーフだとしても、果たしてマンスリーで借りてくれる人がいるのか、という問題も大きい。
沖縄では、冬にプロ野球のキャンプがあるため、球団関係者や報道陣がマンスリーで借りてくれる可能性がある。しかし、札幌ではそんな需要は見込みにくい。
そうなってくると、「もうけようとする人向きではありません」と割り切ってもらったほうがよいことになる。「もうけではなく、セカンドハウスを合理的に入手する賢いスキームです」と薦めたほうが納得してもらいやすいのである。
「なるほど、その通りだ」と納得する人が集まるのは、多くの人がセカンドハウスを持ちたがる場所……沖縄の那覇と北海道の札幌が最適地となる。
ちなみに、民泊マンションは住宅ローンを組んで購入することはできない。キャッシュか事業用ローンを組むことになる。この事業用ローンを付けるのに苦労するのも民泊マンションの特性となる。
前述した通り「もうけを出すには至らないこと」がネックになり、金融機関がなかなか実行してくれないからだ。
結局のところ、新築の民泊マンションは、購入者が「他人を宿泊させるだけでなく、自分でも利用したい」と考える場所でないと成立しないのである。
以下、もう少し続く。























