不動産学の魅力 ESG投資と不動産、ZEH賃貸 マンション普及と営業職の教育 明海大学 不動産学部 第43回
住宅新報 2025年3月19日 号 7面
現在、世界的に不動産分野におけるESG投資が進められている。不動産分野では、Eを示す環境(Environment)が中心であり、実質的なエネルギー消費がゼロの物件(ZEH)の普及が図られている。また、近年においては、商業ビルや一軒家だけでなく、集合住宅のZEH基準化も普及が進められている。しかし、その普及には、建築コストが余分にかかり、その分、高めの賃料設定になるというデメリットがあることや、税金・補助金・金利等の面で優遇される等のメリットがあることについて、オーナー及び賃借人の理解が必要となる。そして、両者の理解を深めるには、勧誘者である不動産会社の営業員のスキルアップも重要である。
明海大学不動産学部山本卓研究室では、2024年12月に不動産関係の会社に勤務する1000人を対象とした全国的なアンケート調査を実施した。質問項目として、ESG不動産についての知識の程度(リテラシー得点)、不動産関連資格(宅建士等)の保有の有無、ZEHタイプの集合住宅について、その賃料プレミアムを反映した非ZEHタイプ物件よりも高い賃料設定で成約する自信があるかどうか等である。その結果、ESG不動産についてのリテラシー得点が高い従業者と、そうでない従業者とでは、高い賃料設定での成約に対する自信の有無に大きな差が生まれた。すなわち、低いリテラシー得点の調査対象者ほど、高い賃料設定での成約に対する自信はないと回答する傾向が顕著であったのである。また、不動産関連資格保有率が高まるほどリテラシー得点も高まる傾向も確認された。このような調査結果からも、不動産業界で働く従業者に対する直接的な教育だけでなく、資格取得を通じて学ぶ最新の情報、さらには資格取得後の法定講習等を通じての知識の補充は、不動産分野におけるESG投資を普及させる手段の一つとして効果的といえる。
筆者は、23年に新設された「投資不動産販売員資格」という民間資格の公式テキストを執筆し、試験問題の監修、講座の運営を行っている。特に、この資格制度をサポートする金融機関の要望で、ESG不動産投資に関しては、公式テキストに掲載し、試験問題も出題している。ESG不動産投資に直接関わる不動産投資会社の営業員が、この資格取得を通じて関連知識を身に着け、より適切な営業活動が展開されることで、社会の脱炭素化が加速することを切に願っている。
























