不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第27回 米国の既存住宅の魅力 日米の価値観の違い大きく
住宅新報 2024年11月19日 号 7面
米国では中古住宅(Used house)を既存住宅(Existing house)と呼ぶのが一般的だと授業で学んだ。このような、日本との呼び名の違いは、住宅に関する哲学の違いを表しているのではないか。
米国では、既存住宅市場は新築住宅市場の規模よりはるかに大きく、売却は容易に行われている。既存住宅であっても、定期的な修繕を施せば、資産価値が維持・上昇することが普通であるそうだ。一方日本では、20年経過した木造物件は状態が良くても、過年数に応じて一律に減価評価され、約20年で資産価値がゼロと評価されることが一般的である。この違いの一番の理由は、米国では人口の自然増と移民の流入によって、年間250万人から300万人程度の安定的な人口増加が住宅需要をけん引し続けていることにある。二番目の理由は、人口増加による住宅需要の拡大が続く中、新築住宅建設の許認可のハードルが非常に高く、大規模な開発がなかなかできないことにある。その根底には、皆の資産価値を守るという暗黙のルールが、一般市民の間に共有されている状況がある。そしてそれが住宅行政に強く反映されたものと考えられる。住宅の購入は、居住の確保である一方で、立派な投資でもある。この姿勢は税制面にも反映されている。米国ではオーナーが変わる度に27.5年で何度でも減価償却することが可能で30年の融資が組める。こういった既存住宅を巡る環境が、既存住宅を大切に扱い、修繕やリフォームを重ねる文化を育てている。その結果、米国の住宅寿命は約60年といわれるほど、日本よりはるかに長持するものになっている。
更に、米国の住宅は地球環境にも優しく、オーナーにも恩恵が多い。米国では、住宅が「Safe Heaven(安全な天国)」と呼ばれている理由が何となくわかる気がする。三番目の理由は、市場の透明性である。これを支える制度はいくつかあるが、例えば、エスクロー(Escrow System)は、取引安全性確保のため、買主や売主とは関係のない第三者(州から認可を受けたエクスローエージェント)が、代金を預かり契約内容を精査する仕組みである。
























