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スタンダード会員限定不動産経済かわら版 (7) 環境認証とAIが変える市場  ボルテックス 主席研究員 安田 憲治

住宅新報 2024年10月15日 号 4面

マンション・開発・経営
不動産経済かわら版 (7) 環境認証とAIが変える市場  ボルテックス 主席研究員 安田 憲治

 24年も終盤に差し掛かり、日本の不動産市場は、新たな成長期に入ろうとしている。JLL社とラサールインベストメントマネージメント社が先月5日に発表した「24年版グローバル不動産透明度インデックス」では、不動産市場における情報の明確さやアクセスのしやすさ、信頼性を指す「透明度」において、日本は世界で11位にランクインし、引き続き高水準を維持している。この高い透明度が、国内外の投資家にとって日本市場を一層魅力的な投資先として位置付けている。

 23年、東京を中心とした日本の不動産市場の取引額は約4兆2000億円に達し、24年には約4兆5000億円に拡大する見通しである。特にエネルギー効率やサステナビリティを重視する傾向が強まっており、建物の環境性能を評価するための認証制度であるLEEDやCASBEEを取得した物件にはプレミアムが付与されている。認証物件は、非認証物件に比べて10~30%増の賃料や取引価格のプレミアムが付くことが多く、市場での需要が高まっている。東京ミッドタウン日比谷では、外装や高性能ガラス、太陽光発電などを組み合わせた最新のエネルギー管理技術を採用して建物のエネルギー消費を大幅に削減し、CASBEEの最高評価であるSランクを取得している。短期的なコスト削減だけでなく、長期的な資産価値の向上をもたらす投資先として評価されている。

 更に、日本市場における取引の透明度は、データの公開とテクノロジーの進化に支えられている。国土交通省が提供する取引価格情報については、今年4月に「不動産情報ライブラリ」というウェブサイトによりデータの閲覧や検索ができるようになっている。また、不動産業者はAIを活用して不動産価格の評価やリスク管理を自動化し、迅速かつ的確な意思決定が行えるようになった。例えば米国では取引プロセスが30%効率化され、価格評価の精度が高まったという調査も存在している。地震リスクやエネルギー消費リスクをリアルタイムで分析することで、より正確なリスク評価が可能となっている。

 今後、日本の不動産市場で注目されるのは、環境認証とテクノロジーの更なる統合である。サステナブルな建物が市場で競争力を持ち続ける中、エネルギー効率やリスク評価を高度に分析できるAI技術の導入が、投資判断の決定的な要素となる。

やすだけんじ 一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。大手総合アミューズメント企業で、データサイエンスの経営戦略への反映に取り組む。現在、(株)ボルテックスにて、社内データコンサルティングに携わる。多摩大学サステナビリティ経営研究所客員研究員。

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