不動産取引現場での意外な誤解 売買編221 譲渡担保と売渡担保は同じものか?
住宅新報 2024年10月8日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.不動産登記には、同じような登記があるために、その違いがよく分からないまま取引に入ってしまうことがあります。その1つの例が「譲渡担保」と「売渡担保」の違いですが、両者はどう違うのでしょうか。
A.この両者は、いずれもその担保となるべき不動産の所有権を債権者に移転して融資を受けるというものですから、担保の機能としては同じものなのですが、違う点は、同じ担保のための所有権移転でありながら、登記の上では、その登記原因が前者は「譲渡担保」、後者は「売買」と登記されるという点です。
Q.登記原因が違うということは、融資を受ける際の金銭消費貸借契約の内容が違うということでしょうか。
A.そうではなく、融資を受ける際の担保の方法が違うということです。
具体的には、前者の「譲渡担保」の場合は、融資を受ける際に債務者の所有する不動産の所有権を債権者に移転するが、それはあくまでも担保のための所有権移転であるから債務者がその債務の全部を弁済すれば譲渡担保契約は解除となり、その所有権が債権者から債務者に移転(復帰)するという条件で融資を受けるというものです。
それに対し、「売渡担保」の場合は、譲渡担保のように登記面からそれが担保目的の所有権移転であることが分からないよう、登記原因を「売買」にするという方法ですから、一見しただけではそれが担保目的の売買であるとは分かりません。
Q.それでは、それが担保目的の売買であることを見抜く方法はあるのでしょうか。
A.あります。その最も一般的な方法は、そのような物件の場合は、通常、売主である債務者がそのままその物件に入居しているのがほとんどですから、その点を入居者(売主)に確認すればすぐに分かります。
また、もし住んでいない場合であっても、その物件には抵当権などの担保権の登記がされていることが多く、売主はいわゆる多重債務者になっている可能性があります。もし本当に債務者がその物件を売ったのであれば、その代金で抵当権などの担保権の登記は抹消されているはずですから、その点を売主(債務者)に確認すれば分かると思います。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男























