不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第15回 ESG投資と不動産 ZEH賃貸の普及・浸透に課題
住宅新報 2024年8月27日 号 7面
現在、世界的にESG投資が推進されている。ESG投資とは、リスク管理を向上させ、持続可能で長期的なリターンを上げる目的で、投資の意思決定に環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)の要素を組み込む投資手法をいう。
特に、不動産分野では、E(環境)に着目して、脱炭素社会に貢献するため、国を挙げて高断熱・省エネ・創エネ技術の研究開発に力を入れている。
当初は、企業が使用する商業ビルや一軒家の省エネ基準の向上が中心であったが、現在は居住用賃貸マンションもZEH基準(実質的なエネルギー消費がゼロの物件)を満たすハイレベルな環境対策が進められている。ただ、ZEH基準を満たすためには、当然建築費は高くなり、それを回収するため賃料も高くなるのが通常である。しかし、はたして環境に配慮したZEH基準のマンションであるというだけで高い賃料を支払うのか。
この点について、賃借人(900人を対象)に対してアンケート調査を行った。
結果の一部は表に示すとおりであるが、環境に配慮した賃貸物件を賃借することを想定した場合、最も重視するのは「賃料」(73.9%)、次に「光熱費」(17.1%)であった。
また、環境配慮型の物件を借りる場合に、賃料が相場より割高になったとしても入居するかという質問に対しては、「光熱費が安くなり、その分で高くなった賃料分を賄えるなら入居したい」という回答が52.1%であった。
このように賃借人の意識の一端を垣間見ることができた。
【教員のコメント】 ZEH賃貸マンションの課題には、建築コストが高いことと賃借人の考え方が一様ではなく、安定的な賃貸収入の獲得が難しい面がある。普及・浸透を促進させるために各種の政策的助成(融資、補助金、税制等)が求められる。(山本卓)


























