不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第9回 公民連携の公園経営 コンセプトはサードプレイス
住宅新報 2024年7月9日 号 7面
以前から気になっていた東京都豊島区の南池袋公園(写真)を訪れた。
日曜の午後、公園でくつろぐ人の多さに驚いた。素敵な芝生とおしゃれなカフェレストランが特徴的な公園で、芝生にそのまま座る人、寝そべる人、ピクニックをする人など、他人の目を気にしていなかった。幅広い滑り台では子どもたちが汗だくになって遊び続けていた。この公園の目標である「サードプレイス(自宅、学校や職場に次ぐ自分の居場所)」がまさに実現している。
南池袋公園は16年にリニューアルしている。以前は樹木がうっそうとし、ホームレスが多い場所だった。公園の地下に変電所を設置することになり、その一環として公園も開放的な空間へと整備した。そしてこの空間の利用ルールや更なる魅力向上につながる活用を検討するために地元町内会、商店会、隣接地権者、豊島区、カフェレストラン運営者、植栽管理者、公園設計者等で構成する「南池袋公園をよくする会」が組織された。地元関係者が同公園のことを自分事として捉え、その運営に関わってもらうためである。公園でのイベント企画が持ち込まれた場合には、地域にとってプラスの内容か、主催者の利益ばかりが追求されていないかなどをジャッジする。また、芝生を傷めないようベビーカーは指定の位置に置くことや、芝生を育てるために一定期間は全面封鎖することなどを、公園入り口の看板や、カフェや公園のSNSで親しみやすく伝えている。
同会の活動費は、カフェレストラン運営者が売上の0.5%を拠出する「地域還元費」で賄われている。カフェレストランの建物は区が所有しており、区は建物使用料や変電所の占有料等を公園の維持費用に充てている。そのため、区の財政負担はない。地元の人気カフェレストランを公園に誘致できたことは成功要因の1つである。
公園は都市計画や土木の領域と捉えていたが、これからの公園づくりは、市と民間事業者と地元が土地と建物の経営をしながら、より良い利用方法や魅力の向上を探る不動産ビジネスであると感じた。多様な主体による公園の経営を通したサードプレイスの形成も不動産学の魅力を形成する今後の重要なテーマとなるだろう。
【教員コメント】 南池袋公園は公民連携による都市公園再生の成功事例として広く知られている。一方で「ジェントリフィケーション」の視点からの批判も意識したい。成功の影には、追い出されたホームレス、おしゃれ空間に居心地の悪さを感じる高齢者がいることを忘れてはいけない。(小杉学)


























