区分所有法改正の影響 ~マンション再生はどうなるか~ 旭化成不レジマンション建替え研究所 大木祐悟 第2回 所在不明区分所有者への対応 「母数から除外」と「管理制度」
住宅新報 2024年2月27日 号 4面
建替え決議要件の緩和と共に、今回の法改正の検討の目玉の一つとして、「専有部分の所有者不明問題」についての対応を挙げることができます。
近年、所有者不明不動産が社会問題となる中で、21年の通常国会でこの問題についての一連の法改正がなされました。ただし、この改正時には区分所有権は対象から外されていたので、要綱においてこの点の手当てがされています。具体的には「所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外」する仕組みと、「所有者不明専有部分管理制度」が新設されていますので、それぞれについて見てみましょう。
まずは、所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組みについて説明します。
区分所有法では、決議に付された議案については「賛成」か「賛成以外」でカウントしています。すなわち、所在不明の区分所有者には議案を送付しようがないため、結果としてその者は議案について賛否の意思表示をすることができません。その結果、集会の決議では、「賛成以外」でカウントされることになります。
この件について要綱では、区分所有者等が申し出ることで、所在等不明区分所有者を裁判所の決定で集会の決議の際の分母から除外することができるようになるとしています。
たとえば、区分所有者11名で構成されるマンション(議決権は各1とします)で建替えをするとき(建替え決議要件は原則とします)で、所在等不明区分所有者が1名、反対者が2名いる場合における決議の結果を現行法と要綱で比較すると下表のようになります。
なお、区分所有者には集会で賛否の意思表示をする権利があるなかで、その者を集会決議の分母から外すことになるわけですから、当人の所在が手を尽くしても探し出せない場合でなければ、申し立てをしても裁判所は決定をおろさないでしょう。
裁判所が任命
要綱には、所有者不明専有部分管理制度も置かれています。すなわち、利害関係人からの申し立てにより、裁判所は所有者不明専有部分管理人を命ずる処分をすることができるとしています。
所有者不明専有部分管理人は、対象とされた専有部分や共有持ち分のほか、所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ共用部分、附属施設、敷地利用権及び動産と、管理および処分等により所有者不明専有部分管理人が得た財産についての管理と処分をすることができます。
そのほか、区分所有建物の管理に特化した財産管理制度として、管理不全専有部分管理制度や管理不全共用部分管理制度が盛り込まれています。
おおき・ゆうご=83年早大商学部卒。同年旭化成工業入社。旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所特任研究員、不動産総合戦略協会理事長、定期借地権推進協議会運営委員長。借地借家問題、定期借地権活用、空き家問題等を中心とした不動産有効活用と、マンションの管理、再生、復興問題等についての講演や論説多数。























