ADR相談からみる 事業者のためのトラブル事例 ――傾向と対策 【第11回】敷金に関するトラブル
住宅新報 2024年2月20日 号 14面
連載: ADRの現場から

2022年度に独立行政法人国民生活センターまで寄せられた敷金・原状回復に関するトラブル相談件数は1万2856件であり、賃貸住宅に関するトラブルの大きな割合を占めています。
「退去時に敷金が返還されない」「設備が自然損耗により壊れたのに修繕費用を請求された」というようなトラブルは一体なぜ多く発生してしまうのでしょうか。それは「敷金の存在は多くの人が知っているが、その位置付けや返還に関するルールが明確には理解されていない」ということに起因するでしょう。
敷金に関する取り決めについては、令和2年に施行された改正民法においても明確化されているのですが、例えば「入居者が普通に暮らしていた場合の劣化は大家の負担」とされていたとしても、それぞれのライフスタイルによって変わってくる「普通の暮らし(部屋の通常の使用)」を杓子定規に定義することは難しいと言えます。価値観の違いが、そのままトラブルに発展してしまいがちなのです。
























