2022年11月の公開以来、生成AIブームを巻き起こしているChatGPT。本コラムをお読みの皆様も、生成AIを試された方が多いと思います。そして、実際の結果をご覧になって、これはただならぬ技術革新が起きそうだとお感じになったのではないでしょうか。特に先例の学習が大きな比重を占める建築設計の分野で、生成AIは威力を発揮すると思います。建築設計の基本は豊富な先例の知見を基に、現在の技術、素材、構造システム、設備システムの選択と組み込みだからです。
今後、建築家は不要になるのではないかと言う危機感が広がっています。その辺りをどう考えているのか、まずは本人(ChatGPT)の弁を聞いたところ、以下のような慎重な答えが返ってきました。
曰く『AIは建築設計において様々な方法で活用されていますが、完全に人間の建築家を置き換えるほどの能力を持っているわけではありません。ただし、AIは「設計支援」「パラメトリックデザイン」「設計タスクの自動化」「効率の最適化」のような側面で建築設計プロセスを支援できます。しかし、AIが完全に建築設計を担当することは現実的ではありません。建築設計にはクリエーティブな要素や利用者のニーズを理解し、文化的、社会的な側面を考慮する必要があります。これらの側面は、AIが単独で処理することが難しい場合があります。したがって、AIは建築家や設計者のツールとして利用されることが一般的です。』と、ずいぶん控えめに聞こえますが、本音は「設計行為の95%以上は生成AIでいけますよ」と言っているようなものです。
ChatGPTの言う「設計支援」は建築家が基本コンセプトをイメージすると、AIがそれを具体的なスキームのために細部を補完したり、アイデアスケッチを提供したりするでしょうし、大量のデータを分析して、最適化されたデザインを提案します。「パラメトリックデザイン」とは、拡大縮小できるようなデザインスキームで、パラメーター(変数)を基準とした形状作成方法のことを指します。3D-CADのモデリングではスペイシャルパラメーターと呼ばれる基準変数を変更するだけでデザインを大きく変えることができ、複雑なパターンを生み出すことも可能です。また「設計タスクの自動化」ですが、繰り返しタスクや定型的なフォーマットの形成と自動化はAIの最も得意とする分野です。「効率の最適化」もまたAIの得意分野で、最大効果を最小コストで実現化する、人知を超えた提案ができるはずです。特にBIMの世界では画期的とも言えるメリットがあります。BIMとは、Building Information Modelingの略称で、コンピューター上のデジタルモデルに、コストや仕上げ等の属性データを追加した3次元データベースです。BIMを構築、応用することで設計・施工・維持管理・解体に至るまでの全ライフサイクルで業務の効率化が達成できるだけでなく、そのフィードバックによって、建築デザインに大きな影響を与えます。多数のBIMデータを集積すれば計画段階で意匠・構造・設備などの仕様やコストを管理したり、環境性能やエンジニアリングのシミュレーションや、エコロジーでコスト効率のよい施工計画を立てたりすることが可能です。
つまり、内容を精査すればChatGPTはどこから見ても隙のない創造的なデザインが可能と言うことになります。 (建築家・中村義平二)

























