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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 370 住まいの耐火性 性能を上げる考え方は2通り

住宅新報 2023年12月5日 号 9面

連載: 知って得する建物の豆知識

資格・実務
鉄骨の耐火被覆

鉄骨の耐火被覆

 建物の耐火性を上げる考え方は二通りあります。一つは燃えない材料で造ること、もう一つは可燃物への酸素供給の遮断です。燃えにくい材料として最初に考えられるのがコンクリートですが、例えば住宅レベルで考えると鉄筋コンクリート構造の耐火性は完璧ですが、躯体の重量が重く、場合によっては地盤改良などが必要になります。建築コストの単純比較でも、木構造の約1.8倍程度のコストになります。そこで、耐火構造として多く使われるのが、耐火被覆を施した鉄骨構造とALC版の組み合わせです。

 ALC版はコンクリートに発泡剤を混入して膨らませた規格部材の板で、内部には鉄筋のメッシュが挿入され一定の強度を維持しています。素材はコンクリートですので耐火性は抜群であると同時に、内部の独立気泡が高い断熱性を発揮します。鉄骨は燃えることはありませんが熱に弱い材料、すなわち高温にさらされると強度が維持できない素材であるということです。NYの世界貿易センターの崩壊は建築的にもショッキングな事件で、建築構造としての鉄骨のもろさを見せつけられました。鉄骨材は約500℃になると強度が一気に低下します。突入した旅客機による燃料火災は1000℃に達していたといわれています。通常鉄骨材は耐熱材で覆われ、一定時間の火災に耐えられるように施工されていますが旅客機の突入によって耐火被覆は吹き飛び火災の熱が直に構造材を加熱し、崩落が起きたと考えられます。したがって、鉄骨構造では地震→火災発生という状況下でいかに鉄骨に熱が加わらないかを考えておく必要があります。

 一方、燃えやすいイメージの最右翼は木材ですが、燃焼に必要な酸素を遮断することで不燃化が可能です。例えば2×4工法では木材に不燃材を取り付けてパネル化することで燃え難くしています。また、気密性と各部屋の独立性が高い2×4工法住宅では火災発生場所全体への酸素の供給を断ちやすく、自然消火した例もあります。不燃材で木構造を包み込めば直接燃焼が起きにくく、火災に強い木構造を構成できます。現在建築されている木造住宅では一般に、外壁材はサイディングなどの不燃材が使われ、内壁の下地にも石膏ボードなどの不燃材は使用されるため、耐火性は大きく向上しています。類焼(もらい火)の場合、軒裏(軒天)や軒先から火の粉や炎が進入して火災になることが多ため、外壁は不燃化しても軒先回りが不燃化していないと、火災に強い住宅とは言えません。

 もらい火に関して言えば、サッシに使われるガラスにも注意が必要です。通常のガラスは熱せられると容易に割れてしまい、炎や火の粉の進入を許してしまいますが網入りガラスは、割れてもガラスが飛散することなく炎や火の粉の進入を防ぎます。建築基準法では準防火地域で延焼の恐れのある部分には網入りガラスの仕様を義務付けていますが、これに該当しない地域でも隣家と近接している場合には網入りガラスの使用が望まれます。また、最近注目されている大断面木造では木材表面が燃焼しても、炭化層が形成され酸素を遮断するので、一定以上燃焼が進行せず、構造体が崩落することなく安全に避難できます。

 木材そのものを不燃化する技術もあります。これは、木材に特殊な化学処理を施すことで、燃焼しにくくしたり、炎が広がりにくくしたりする碁術で、防火剤や特殊な化学物質を木材に浸透させたり、表面にコーティングして製造されます。内装制限適合のための国交省認定も取得した不燃・準不燃木材もあります。

   (建築家・中村義平二)

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