明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 最終回 地域価値を生むパブリックスペース 〝情緒〟が人々の愛着生む
住宅新報 2023年9月12日 号 4面
【学生の目】
その日は1日、自由が丘を踏査する予定で外出していた。夕方、休憩できる場所を探していたところ、写真の通りに出た。九品仏川緑道は1974(昭和49)年に目黒区と世田谷区の区境を流れる九品仏川を暗渠(あんきょ)化して造られた。9体の阿弥陀如来像「九品仏」で有名な浄真寺(世田谷区)から、大井町線の「緑が丘」駅まで東西約1.6キロで、住宅街の駅として高い人気の「自由が丘」駅(東急東横線と大井町線)の近くを通る。
自由が丘散策の印象は、「建物が隙間なく立ち並び、細い路地が多い」だった。しかし、踏切を超え、車の多い路地を抜けると、急に視界が開ける。建物の高さと緑道の幅の関係が程よい、明るい色の御影石で仕上げた歩道と車道に高低差がない、電柱や看板が目につかないほか、街路灯、木製ベンチ、街路樹が並び、オープンテラスの飲食店も展開されている。車が少ない静寂感もあり、読書に没頭する、散歩する、飲食を楽しむなど、思い思いに憩いの時を過ごす――。心地の良い歩車共存空間は、〝街の中の居間〟のようだ。世田谷区のHPは、「緑道は自然を取り戻し、歩行者の安全と緊急避難通路の確保などを目的」とするが、今後のパブリックスペースは、〝機能〟だけでは物足りない。再訪したくなる空間の魅力や日常的に人々が交流する仕掛けなど〝情緒〟が重要だ。九品仏川緑道には〝情緒〟があり、筆者のような偶然の来街者よりも、生活の一部として継続利用する人が多いように見受けた。






















