賃貸が拓く 暮らし (2) 共有資産という意識
住宅新報 2023年6月27日 号 7面

賃貸は借り手の多様なニーズに応えられているか
「家賃を払い続けるぐらいなら、同じ金額をローン返済に充てれば、いずれマイホームという資産が残ります」というセールストークを受けて、分譲マンションなどを購入する人は今でも多い。こうした勧誘がインパクトを持つのは、日本人には「家は持ち家が理想」という根強い考えがあるからだろう。しかし、「その時々のライフスタイル(家族構成や仕事の内容、働き方など)に応じて、住む場所や間取りを選んで暮らすのが理想」という考え方も若い世代を中心に広がり始めている。
ただ、例えば三菱UFJ銀行が昨年行った調査によると、「住宅購入を考えた一番のきっかけ」で最も多かった回答は「子どもの誕生・成長・独立」(34.0%)、続いて「結婚」(32.3%)で合わせると全体の7割近くを占めていた。これは逆に見ると、現在の賃貸住宅市場は、こうしたライフスタイルの変化に応じることができていないということでもある。賃貸住宅市場はこれまでは地主による土地の有効活用や相続対策といった目的で建てられたものが中心で、借り手の多様なニーズを第一に考えるサービス業としては発展してこなかった面がある。
賃貸住宅の空室増加が目立つようになった近年は、そうした従来型の思考では安定した賃貸経営が難しくなってきた。ちなみに、東京都の賃貸用の空き家は18年調査で57.9万戸に上る。























