住宅ローンのアルヒ 勝屋敏彦社長に聞く 住み替え需要を喚起 金融と不動産両面で
住宅新報 2023年6月13日 号 7面

勝屋敏彦社長
――住み替えに着目した理由は。
「住宅ローン事業は人口や世帯数が減ると、どうしても影響を受ける。そうした中でも、住み替え回数が増えればローンを提供する機会が増え、企業の成長につながると考えた。加えて近年は人々の価値観も変化している。これまでは30代、40代で終の棲家として住宅を取得して長期にわたりローンを返済しながら住み続けるというのが主流だった。しかし住宅を取得したときと同じ家族構成やライフスタイルがいつまでも続くわけではない。子供が巣立てば広い家は必要なくなるし、年を重ねると駅前のコンパクトなマンションのほうが生活利便性が高まる」
――住み替え市場を拡大するためには。
「住宅ローンは、住み替えを構成する要素のごく一部。どの街にするのか、家はどうするのか、住み替えには様々な検討事項がある。それらを手間に感じて住み替えをあきらめる人も多い。そこを当社がサポートすることで住み替えを促進する」
――住宅ローンの残債があると住み替えの大きなハードルになりそうだが。
「そこは逆に一つのビジネスチャンスになると考えている。グループ会社の『アルヒ住み替えコンシェルジュ』では、住み替えのための資金計画やダブルローンにならないようにファイナンス手段にめどをつけてから、提携の不動産会社につないでいる。不動産会社には、顧客の住み替え先の要望や資金計画が明確になっているので、喜ばれている」
――残債がある場合、具体的にはどのような提案をするのか。
「通常は従前の住宅を売却して完済してから次の住宅を取得するが、それでは売り急ぐことになる。そのため当社では住み替えローンを用意している。1都3県で提供しているが、今後はエリアを広げていきたい。昨年SBIグループ入りしたので、グループ内の銀行とその点を協議しているところだ」
――これまで長期固定金利の住宅ローン(フラット35)を主力としていたが、今後は変動金利商品を5割程度まで増やす方針を打ち出した。その理由は。
「現在、当社の顧客は変動金利利用が1割、固定金利利用が9割だ。世の中の流れは反対に、変動が9割、固定が1割だ。変動を増やす理由は、そうした世の中の流れがあることが一つ。もう一つは、現在の当社の変動金利商品というのは、ある程度限られた属性の人を対象としたもので、一般の人向けの変動金利商品がない。SBI新生銀行と共に、そうした人の利用を想定した変動金利商品を計画しているところだ。そうすれば当社のところに来てくれた顧客に対して固定でも変動でも提供できるようになる」
――日本は高齢化、人口減少で将来の不安が高まっている。そうした人々の暮らしの中で住まいが占める役割についてどう考えるか。
「今の若い世代、Z世代はこれまでの世代とは違う感覚を持っていると思う。保有よりも利用価値に重きを置いている。ずっと賃貸住宅暮らしという選択もあるが、年を重ねてからも借り続けられるのかという不安もあるので、やはり家を持ちたいというニーズもある。この双方を満たすには、賃貸、持ち家にかかわらず住み替えしやすい世の中にすることだ」
「住宅の性能は上がっているし、長期にわたり使うものだから、金融面もこれまでのような30年、40年住み続けて返済することが前提のようなものばかりではなく、途中での住み替えをファイナンス面でも支援する。更には住み替え相談や引っ越しなど様々な不動産関連のサービスと融合することで住み替えをワンストップでサポートしていく態勢が重要だ」























