前回の記事に対して、「親の遺産をすぐ売却して子供で分けられるのは一番いいことだ」との話が、80才の男性からありました。2年前に奥さんの認知症が始まったたそうです。自宅には50代で未婚の長男が同居していて、食事等の生活費は親が出しています。息子の世話を一生懸命やっていた母親が認知症になったのです。
他に結婚した娘と次男がいるのですが、長男のことがネックで、あまりこの家には来ないという話です。娘さんには「いい加減、自立して生活してもらうように話さないと駄目だ」と言われ続けていますが、なかなかそれができないと言います。今の一番の悩みは、妻も自分も施設入居が必要になった場合に、このマンションをお金に換える必要があるのですが、長男が暮らしている以上、賃貸も売却もできないことです。
更に、自分たちの死後も心配です。奥さんは長男に残したいと考えていたようですが、遺言に「自宅は長男に相続させる」と書くと、遺留分でもめる可能性が高いです。5000万円はする自宅を、兄弟3人で平等に分けなければなりません。子供が同居しているゆえに、自分たちの行く末を心配しているのです。
こういった話はありがちです。親は、子供を自立させることをまず考えなければなりません。もし子供に何か心の問題があるようなら、早くから専門家の診断、治療が必要です。それでも、相続は公平が原則です。
しかし、その「公平」って大変です。公立高校から国立大学に入った子供と、高校から私立だった子供とでは、お金の掛かり方が違う。子供が3人いる長女と、結婚しなかった次女とでは、孫などに掛かる費用が全く違う。家が近くて、何かと手伝いに来ていた長女と、家が遠くて、泊りがけで遊び感覚で訪れた次女とでは、親の手間もお金の掛かり方も違う…等々です。これらはいずれも、実際にあったケースです。
抱え込まず支援の利用を
大人になった子供のことで苦労がある場合は、親が、自分が何とかしなければと抱え込まないで、社会の中でサポートを受けて自立するように考えたいです。なかなか大変だけれど、そうしていくことでしか、子供も親もきちんと生きられないのです。マンションにも、そういう家庭が少なからずあるのだろうと思います。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
「廣田信子のブログ」発信























