紙上ブログ不動産屋の独り言697 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 二度と顔を見たくないと思っていた客 近所でばったり出くわすかも
住宅新報 2023年4月4日 号 6面

688話で書いた高齢男性のその後。生活保護を申請していて、今住んでいるマンションからもっと家賃が安い物件に移る必要があった。パート先を解雇され、生活保護受給の決定が出る前だとなかなか審査が通らないし、何度か案内もして、申し込みが入っても娘が勝手にキャンセルしてきたりで、私も「二度とあの客の部屋探しはしたくない」と思っていた。一度なんか、本人も娘も気に入っていたハズの部屋で申し込んで、保証会社の審査を管理会社の担当者が頑張って通してくれたにもかかわらず娘がキャンセルしてきて、私が管理会社まで謝罪に行く羽目になった。二度と顔を見たくない、と思っていたのだが、店と我が家の中間くらいの所でスレ違った。互いにマスクをしているし、向こうは気付かなかったが、こっちはすぐに分かった。
こっそり後をつけると
元のマンションとは方向が違うし、「どこかで契約して引っ越したんだな」と分かる。それで、こっそり後をつけることにした。すごくいい条件の2階の部屋を紹介したら、娘から「将来的に階段がキツくなるから2階はダメ」と断りが入り、別のマンションで1階の部屋を紹介したら「日当たりが悪い」と同意せず。2階は「まだ10年くらいは大丈夫だろう」とは思ったが、まあ娘が心配する気持ちも分からないではないので残念だがキャンセルを受けた。
なぜか3階に
幸いにも一度も後ろを振り返ることはなく、どんどん進むと、我が家のすぐ近くのアパートに入っていった。直線距離で50メートルほど。そのアパートは、以前に空室が出た際に、家主がチラシを持って「お客さんがいたら紹介してください。今なら冷蔵庫や洗濯機なんかの家電品も付いています」と言っていたが、その男性が借りた部屋とは違うから、家電品が付いているかどうかは不明。ただ、男性の部屋は3階みたい。もちろん、エレベーターはないし、「2階はダメ」と言っていた娘がどうして3階の部屋で納得したのかが分からない。何か別の理由があってのことだったか。それにしても、うちの家にも店にもそんなに近ければ、そのうちバッタリ出くわすこともあると思う。私は何も悪いことはしていないが、そのときは気まずい再会になることだろう。
(坂口有吉不動産・社長)























