検証・マンション建替え ――データが明かす真実 (中) 旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長 大木 祐悟 建て替えたマンションの立地 東京23区など地価の高さが基本
住宅新報 2023年3月28日 号 7面
容積に一定以上の余剰
これまで建て替えられたマンションの多くは、ディベロッパーが事業協力者等として関与しています。具体的には、建替え後のマンションについて、区分所有者が取得しない部分はディベロッパーが取得することとし、取得の対価として支払われる金銭を事業費の一部とする手法が取られています。
なお、マンションを建て替える際の土地評価は、建て替えたマンションの総販売価格の原価から建替えに要する費用を差し引くことで求めます。
そのため、先述の仕組みで建替えを進めるときは次の2つの要件を満たす必要があります。
(1)容積率に一定以上の余剰があること
(2)マンション価格(=地価)が高い立地であること
ちなみに、旭化成が参加組合員となって、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」という)の組合施行方式で建て替えたマンションの事業費の平均的な内訳を見ると、83%強が参加組合員負担金(注)となっています。
グラフは、旭化成不動産レジデンスで建て替えたマンションの立地を示したものです。ごらんの通り、東京23区が圧倒的に多く、そのほか東京都下、横浜および阪神圏でほとんどを占めています。
また、当社のデータとは別に、マンション再生協議会が公表している、円滑化法を使って建て替えたマンションの立地についても、全体に対する首都圏および阪神圏を合わせた割合はほとんど変わりません。
いずれにしても、地価が一定程度以上ある場所でないと、既存の仕組みによる建替えは進めにくいことが確認できます。
要件に合わない場合
では、上記の2つの要件を満たさないマンションで、マンションの終活が必要となったときはどうすればよいのでしょうか。
まず、マンション価格が高い立地であれば、総合設計制度や円滑化法によるマンション建替え型の総合設計制度を使って容積割り増しを受けることができるか否かの検討が必要です。そのほか、隣接地を取り込むことで対応ができるケースもあるでしょう。
もっとも、地価が高い地区でも容積割り増しを受けることができないケースもありますし、中には建て替えると現状よりも小さくなるマンションもあります。また、容積率に余剰があってもマンション価格が低いと、既存の仕組みで建て替えをすることは困難です。
敷地売却で対応も
もちろん、区分所有者が相当な負担をすることを許容すれば建替えは可能ですが、そうでないときは建替えではなく、マンション敷地売却で対応することになるでしょう。
(注)参加組合員負担金とは、建替えに際して参加組合員がマンションの土地共有持分を取得する対価として支払う資金を意味します。
おおき・ゆうご=83年早大商学部卒。同年旭化成工業入社。不動産総合戦略協会理事長。定期借地権推進協議会運営委員長。賃貸住宅経営、借地借家問題、定期借地権活用、空き家問題、生産緑地問題等を中心とした不動産有効活用と、マンション管理、マンション再生問題、被災マンションの復興問題等についての講演や論説多数。

























