明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第475回 ハワイ州の開発 規制厳しく文化や農地保全
住宅新報 2023年3月14日 号 4面
【学生の目】
新型コロナウイルス感染症の影響で中断していた海外研修が再開され、大学からの派遣研修生としてハワイ州のオアフ島を訪れた。ハワイは観光都市というイメージがあるが、都市的土地利用の面積は州全体の5%程度にすぎず、州の過半を農地と保全地が占めている。一方、宅地需要は旺盛で、2万1000戸の需要に対応できていない実態がある。積極的に開発すればよいと考えたが、一筋縄ではいかない理由を学んだ。
まず、農地から宅地にする手続きに膨大な時間がかかる。実際、12年間許可を待っている例もあるなど開発業者の手間、費用、時間は大きな負担で、開発の阻害要因となる。また、環境保護の立場の人との間で訴訟になることも珍しくないという。
次に、ハワイ州はゾーニングのレベルが高く、詳細である。ハワイはアメリカで初めて州レベルで用途地域制を導入し、市レベルの規制が加わることもある。ホノルル市では現在14~15種類のゾーニングがあるほか特別区域も存在し、開発には大きな制約がある。既存の建物を建て替える場合でも、元と同じ戸数や用途では許可されないこともあり、事業者は計画内容を見直しながら手続きを進めることを余儀なくされる。
これは開発事業者や投資家には難題でリスクでもある。大規模開発が進むカカアコ地区の開発に関するレクチャーでは、開発の許可がないにもかかわらず、許可申請と同時に建設を進める事業者もいるという話を聞いた。
しかし、ハワイ大学の先生や現地の方の話から、こうした規制がハワイを守っていることを理解した。
ハワイ大学のカール・キム先生は、開発を制限し農地を保全することが、プロテクティブアクションになるという。ハワイは周りに陸地がなく災害に弱い。そこで、農地を保全すれば食料を確保することができ、有事に備えることができると考えている。また現地の方に話を伺った際、ハワイの人は、土地も自分とつながっている家族であるという考え方をもっていると教えてくれた。土地と関わることは経済的利益などのためだけではなく、先祖からの家族を守ることにつながるという考え方である。
このような考え方に触れ、不動産に関わる上で最も大切なことは、その土地や歴史を知ることだと感じた。4月からの社会人生活でも、そのことを意識しながら不動産と関わっていきたい。
【教員のコメント】
地球温暖化による災害多発を経験し、持続可能な開発目標は人類の命題と感じる。有限の資源を費消する畏れは地球と共存する人間に組み込まれたDNAで、開発圧力が強いハワイでも時に規律、時に地元意見となってSDGsをもたらしている。
























