知って得する建物の豆知識 354 地盤調査 適材適所の方法で
住宅新報 2023年2月21日 号 9面
連載: 知って得する建物の豆知識
最近では、地盤の強度を担保する地盤調査が広い範囲で採用されるようになりました。地盤調査には多くの種類がありますが、それぞれ得意不得意があり、適材適所な調査方法が必要です。
「標準貫入試験」はいわゆる「ボーリング調査」と呼ばれるもので、調査費用が15~25万円程度必要であるため、主にはS造(鉄骨造)やRC造(鉄筋コンクリート造)、木造であっても3階建てなどが建築される土地に使用されます。貫入試験の名前通り、地中深くパイプを打ち込み土壌の現物サンプルを取り出しますので、他の調査方法に比べ精度の高いデータが取得できます。
「載荷試験」は基礎底部まで穴を掘り、そこに円盤状の載荷盤を置き、沈下量を測定して地耐力を推定します。地盤に実際の条件に近い荷重を直接掛けて地盤の強度を確認するため、信頼性に優れています。調査は短時間で可能であるため、プレハブなどの地盤調査に向いています。一方、載荷板が小さいため、深さ約0.6メートルより下の地盤を調べられない・調査地点の支持力しか調べられない・礫(れき)地盤は過大評価になる可能性がある――などの欠点があります。費用は標準貫入試験よりいくぶん安価な程度です。
「SS試験(スウェーデン式サウンディング試験)」は土中に入れるパイプの上部に5.15.25.50.75キロと加重を段階的に増やしていき、100キロになる時点までの沈下量を調べます。100キロで止まった地点からは、重りに付けられたハンドルを介してパイプをドリル状に回転させ、半回転ごとの沈下量を測定すると同時にパイプに付けられた25センチごとのメモリに達するまでの半回転数を記録します。加えた重りの重量、沈下量、半回転の回数から地盤の支持力を推定します。費用は一敷地当たり4~6万円程度です。SS試験は簡易に試験ができるため、経験の浅い業者も少なくありません。判断能力の高い経験豊富な業者を選ぶことが重要です。
「ハンドオーガーボーリング」は業者が行うケースは少ないのですが、一式7万円程度の道具を購入して自ら調査ができます。狭い場所でも測定ができますが、測定値の判定には経験を要するため、ネットなどで多くの事例を調べて判断する必要があります。作業は地中にオーガー(掘削器具)を人力で回転圧入させて地中に孔を開け、試料の採取・観察を行います。地表面下数メートルの軟らかい土から中位の硬さの粘性土や砂質土の採取・観察に適します。SS試験の補足調査などにも利用されます。
「表面波探査法(レイリー波測定法)」は検査方法が簡便であるにもかかわらず、比較的精度の高い地盤情報が得られます。起震機により、地震波の一種である「表面波」を地盤に流し、センサーによってその「表面波」が地盤を通過する伝播速度波形を読み取ることで、地中10メートルまでの地盤状況を解析します。振動機とセンサーの距離を変えて、詳しく段階的に地盤を判別することができるので、不必要な地盤改良工事を避けることができます。費用はSS試験とボーリング調査の中間程度です。
地盤調査で得られた地耐力が低い場合には杭基礎や地盤改良を行う必要があります。表土に固化剤を混ぜて地耐力を上げる表層地盤改良程度の場合、標準的な住宅100m2程度を1メートルの深さまで行って60~80万円程度、鋼管杭などを打ち込んで地盤改良する場合には、およそ100~150万円程度必要です。
(建築家・中村義平二)


























