明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第466回 存在感のある住宅 角地を演出し街区の「顔」に
住宅新報 2023年1月10日 号 4面
【学生の目】
大学から徒歩10分程度の場所に、魅力的な住宅地がある。大学のゼミ活動の一環の住宅調査で写真の住宅を発見した。大学がある新浦安地区は東日本大震災で液状化被害を受け、新規開発はしばらく中断されていたが、震災後初の大規模な戸建て分譲開発が写真の地区で行われた。十分な液状化対策で安全性を確保したことに加えて、高いデザイン性が特徴である。
目に飛び込んできたこの住宅の魅力の一つは、街区の「顔」になっていることだ。交差する道路の角に位置する住宅は人目につきやすい。多くの住宅ではブロック塀やフェンスを設けて自衛するが、目線かそれ以上の高さの塀やフェンスは圧迫感を与える。また、角地は円滑な通行のために隅切りされる。矩形の一部をカットされて生じた不整形の〝マイナス部分〟と感じることも多い。
しかしここでは、隅切り部分を演出してアイストップを創り出し、街区の看板の役割を果たしている。
具体的には、円柱状に突出させた両側の凸部の間を擬石で乱貼りし、中央にタイルを配置してシンボル性を演出している。わずか数メートルの演出だが街区全体に個性を与え、価値を高めることに貢献している。
存在感を放つ植栽もポイントだ。円柱状の凸部にはヤシの木を配置して上下の一体感と海に近い新浦安のリゾート感を演出している。
上下の質感の変化もポイントだ。擁壁を境界線から後退して配置し、後退部分を緑にしている。緑が水平面と垂直面の緩衝帯となり、人工物と人工物との間の緩衝帯となって柔らかい広がりをもたらしている。歩道レベルの緑、中間の擁壁、その上の中木の植栽で構成される3段階の外構は圧迫感を与えず、癒やしを提供しながら、プライバシーをもたらしている。
人目に入りやすい角地住宅は住宅地全体の印象に影響する。一般に角地の価格は中間画地より数%高いとされるが、それは前提ではなく結果といえる。「顔」である角地住宅が「目に飛び込む」ほどすてきならば数%の何倍も高い価値を持つことができると共に、その価値は街区全体にも波及する。
角地住宅は「顔」として見られている意識が必要になるが、この住宅にはそれが十分に感じられる。角地にたたずむこの住宅は、遠目からでもその存在に気付くことができた。住宅地のシンボルとしてふさわしい存在感と魅力を兼ね備えている。
【教員のコメント】
道路の交差部の住宅は全方位からの視線を集めることに加え、十字にクロスする道路空間が広がって景観形成の要衝となる。住宅地のゲートウェイとしての役割は重要で、時間と共に成熟するランドスケープが住宅地に付加価値をもたらす。
























