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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第464回 若者を包み込む建物 個性的な建物、都市活性化にも

マンション・開発・経営
  • 明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第464回 若者を包み込む建物 個性的な建物、都市活性化にも

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  • 尾形 珠緒 不動産学部4年

    2 / 3尾形 珠緒 不動産学部4年

  • 社会へ飛び出す前の若者を保護する繭をイメージ

    3 / 3社会へ飛び出す前の若者を保護する繭をイメージ

 【学生の目】

 東京都心に次々と超高層ビルが建築されている。世界がSDGsやESGに取り組む中、個々のビルもBCPや省エネに取り組み、外観にはそれぞれの工夫が表現されていて個性がある。中でもひときわ個性的な姿で立つのが新宿のコクーンタワーだ。

 着工2006年、竣工2008年で十数年の時間が経つが、建物形状に際立つ存在感がある。超高層ビルの多くは賃貸事務所として利用するため、多様な入居者に使いやすい汎用性が求められ、ビル事業の収益性も重視なことから、四角いビルが多い。コクーンタワーは学校法人が所有して専門学校などに自用する。四角ではない個性的な空間で若者を包み育てたいという建築主の意向から、個性的な形状となった。

 設計者の選定は国際設計競技により、150超の提案から丹下都市建築設計の案が当選した。日本の代表的な建築家である丹下健三氏の子息の丹下憲孝氏の力作だ。地上50階建ては学校法人所有建物として最も高く、都市再生特別地区を活用して基準容積率1000%の敷地に1370%の建物を実現した。

 なぜ繭(コクーン)の形なのか不思議に思い調べた。まず、繭は活動を開始しようという生命体を包み込んで保護している状態で、これから社会へ飛び出す若者の学び舎を繭に例えた。次に、十分に広いとは言えない敷地に少しでも多くの緑を確保するために建物の足元を絞る一方、中間部は様々なタイプの教室を確保するために広く、そして、外観のバランスを考え上部は再び絞り込む、造形上の理由がある。

 繭を表現する外壁の工夫もある。アルミカーテンウォールを対角線状に区切るほかガラス部分にも白い模様を入れ、ランダムだが切れ目なく絹糸で覆われる様子を表現している。一方、微妙な曲線を含むランダムな外観は、アルミやガラスの形状をことごとく異形として工事の難易度を高め、工期が長期化し工事費が増加する。このため、通常は統一する基準階の階高を変化させて部材の大きさを整える、建設会社が独自に開発した三次元CADシステムを採用するなどにより、課題を克服している。

 ESG投資の重視や三次元デジタル技術の進歩で、事務所ビルでも個性的な建物が実現できる環境が整ってきている。ハッとするほどの芸術性と安定性を兼ね備えた建築物が増えることが都市の活性化にもつながる。

 【教員のコメント】

 ロンドン中心部のピクルスタワー(ノーマン・フォスター設計)、シドニーのオペラハウス(ヨーン・ウツソン設計)はその都市を代表し、歴史にも刻まれる建物である。コクーンタワーを含め、難解な構造解析はアラップが担当している。

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