明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第463回 工夫された賃貸アパート 安心でき居住者にもメリット
住宅新報 2022年12月13日 号 4面
【学生の目】
日頃アパート建築に違和感をもつことが多い。特に戸建て住宅地ではアパートの共用部分のつくり方と、それが丸見えになる建物のデザインに改善の余地を感じる。そのため街を歩いていてアパート建築が目に入ると、少しでも工夫されている部分はないか、注意して観察している。
そんな問題意識で歩いていると写真の住宅が目に入った。おしゃれで落ち着いた戸建て住宅だと感じて通り過ぎたが、ふと振り返ると複数のガスメーターが目に入った。近づいて観察すると、紛れもなく共同住宅である。ここでは一般的なアパート建築と比較して以下のような工夫がある。
第1に、外観である。アパート特有の屋外階段、屋外廊下、ベランダがなく、外観がスッキリしている。第2に、寄棟を基本とし、玄関部分だけ切妻とした上で擬石を貼った外観にメリハリがあり、程よい重厚感がある。第3に、窓の形に工夫がある。縦長で細目の窓が連続するほか正面には大きなアーチ窓がある。ガラス面には金属製の桟が付いていてヨーロッパの建築を連想させる。
外構にも工夫がある。第4は、敷地境界線は明確にしながら、門扉は少し後退した位置にあってゆとりがある。また、仕上げに建物正面と同じ擬石を貼っていて、建物と外構に一体感がある。第5は、駐輪場には屋根の形を工夫した屋根がかかっているほか、出入り口にしっかりとしていてよくデザインされた扉が付いている。盗難防止に加えて、景観を台無しにする駐輪場を目立たなくする効果がある。第6は、シンボルツリーである。2本のシンボルツリーがあることで戸建て住宅に近い印象をさらに強くしている。
隣地境界線付近のつくり方にも工夫がある。隣地境界線側の大きめの窓は、平面形状が三角形をした斜めの出窓になっている。少しでも多くの採光や眺望を確保する一方、道路側からは窓があることすら分からない。目立たないが大切な工夫である。
以上のような工夫は、外観が戸建て住宅に似ていて見た目や街並みによいだけでなく、住む人にもメリットがある。廊下や階段がむき出しになっていると歩いている人の様子が道路から丸見えになるが、そのようなことがなくプライバシーが保てる。セキュリティのあるエントランスホールがあり、安心して住むことができる。特に女性に高く評価されそうな集合住宅である。
【教員のコメント】
賃貸アパートは収益性が重要だ。外廊下や外階段などローコストに有用な構法が採用されるが、人口世帯の減少を背景に収益性は長期戦になる。新築に際してはその時点を完成形と考えず、追加投資で本物に成熟できるベース造りに徹するべきだ。
























