紙上ブログ不動産屋の独り言679 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 家賃が安いのには理由がある ドアの前がゴミ屋敷状態
住宅新報 2022年11月22日 号 6面

高齢の男性が飛び込みで部屋探しで来店した。予算も条件も厳しく、なかなか希望に合う物件がない。そこにもってきて「娘がカネを出す」ので娘がOKしないと話が進まない。ならば一緒に来店すればよさそうなものだが部屋探しは本人に任せている。仕事は市内でも有名なレストランのコック。だが、コロナのあおりで景気が悪くなって給料も削られてしまっているとか。とにかく家賃は安く抑えたいけど、物が多くて狭いのは駄目、駅から徒歩可能な物件で、足腰が衰えてきたので1階でないと駄目。家賃は5万3000円までと聞いていたので生活保護なのかな、と思ったほど。
下見に行くと
当社も、家主が理解があって条件に合いそうな物件を案内したが、娘が却下。他社の物件でも探すべく調べていたら、駅から徒歩8分の1Kが出てきた。1階の角部屋で、少し狭いが収納もある。引っ越しを機会に使わない物を処分してもらう方向で話をしようと思い、うちの店から徒歩5分くらいで行けそうなので私1人で下見をしようと思い、見に行った。すると、建物は比較的キレイで、日当たりも申し分なかったのだが、アパートの敷地内の草は伸び放題。家主は遠方に住んでいるのかもしれないが、今年に入って一度も草取りをしていないな、と分かる。裏に回って、募集している101号室の共用部を見たら、草もだが、ドアの前がゴミ屋敷状態。退去済みなのか退去前かは不明だが、室内は凄いことになっていそう。それだけに、室内はリフォームするだろうけど、全体としてはとてもお勧めできる状態ではない。私も、一刻も早くその場を立ち去りたかったほど。
もう1万円高くても
不思議である。その物件の管理会社自体はしっかりしていて、社長はかつて業界団体で役員を務めていたような人。社員の指導や教育が行き届かないハズがなく、たぶん、家主が管理会社の進言を受け入れないんだろう。箱モノだけ造れば何をしなくてもカネ(家賃)が入ってくる、くらいにしか思っていないんだろうな、と分かる。家賃は4万3000円となっていたが、建物は古くても、立地的に通常ならもう1万円高くてもおかしくない。なるほど、安いにはワケがある、ということか。
(坂口有吉不動産・社長)























