REDS 深谷十三代表取締役に聞く 公取訴訟なぜ踏み切った 「自由な価格競争を訴求する」 手数料表示の禁止 消費者利益を損なう「ポータルサイト優越的立場の乱用、独禁法に抵触」
住宅新報 2022年10月11日 号 6面
――公取提訴に踏み切ったのはなぜですか。
「いきなり提訴に踏み切ったわけではない。当社は昨年の夏にリクルートに対して質問状を送付して適正な対応を求めたが、『手数料を載せられないことを承知の上で契約している』のだからと一蹴された。そうであれば公取に提訴するしかないと思った。もちろん、独禁法を専門とする弁護士に相談した上での判断である」
――御社は、手数料を割り引くビジネススモデルで成長してきました。
「さまざまな経費を削って仲介手数料を割り引いており、利益も出ている。これは企業努力によるものだ。他社との差別化の一つであり、そこを制限されるのはおかしい。消費者にメリットを提供する機会を喪失させている。飲食店や家電量販店など他業界を見ても経費を切り詰めながら割安感を消費者にアピールして販売している。安い、値引き、という表現を使って顧客獲得につなげている」
寡占が生み出す弊害
「住宅・不動産ポータルサイトに複数の選択肢があれば提訴とはならなかっただろう。例えば、SUUMOでは表現できなくてもアットホームでは表現できる、といったポータルサイトごとに違っていればまた違う。しかし、実態は寡占状態にあるポータルサイト各社が一斉に同じ対応をして『不満があるのならば掲載しなければいい』『別に載せてもらう必要はない』という〝制度〟は、地場から大手まで不動産会社は自分のところ(サイト)を使わざるを得ないことを承知の上での発想にすぎない。消費者の多くがSUUMOやアットホームを利用しているのも承知の上である。優越的立場の乱用で独禁法に抵触する」
――手数料の表示を禁止する背景には値引き競争を嫌がる大手の意向が働いている?
「そのように想像はしているが、現場の実態を見ると、仲介大手も値引きに応じているため、手数料の表示を認めていないのは実態と照らし合わせると意味を成してない。そもそも価格競争は自然に起きるもので、市場原理に任せるべき。そこから各社が工夫をするものだ」
両手禁止、自由化を
「手数料が値崩れして地方のビジネスモデルが崩壊するとの弁も聞かれるが、消費者が求めることに対応できるよう工夫し、努力することが重要で、ある意味その機会も制限しているのではないかと思う。
手数料の競争をさせないことが小規模零細事業者を守ることにはならない。不動産会社やポータルサイトが消費者の選択肢を狭めるべきではない。選択肢を多く提供してどれを選ぶかは消費者に委ねるべきだ」
――不動産仲介ビジネスの在り方をどうすべきでしょうか。
「当社としては、仲介手数料の自由化、両手仲介の原則禁止、レインズ情報の一般開放の3つが重要だと思っている。
古くから指摘される売り手と買い手の両方から手数料を徴収するために他社からの内見などの問い合わせを意図的に取り次がない囲い込みは両手仲介を禁止することでしか防げない。
例えば、離婚で自宅を夫婦間で売買する場合などは両手になることもあるが、両手でないとやりづらいケースは総取引に占める割合は小さい。大概は両手である必要はない」
――公取への提訴に踏み切ったことで物件掲載を拒否されるなどの懸念はないですか。
「物件情報の掲載を拒んだともなればサイト情報の信用力に影響する。公取提訴により拒んだとの風評が広まれば、消費者がポータルサイトの情報をどう評価するか。グルメサイト『食べログ』の評価点を巡る今年6月の東京地裁の判決からわかることだ。消費者から信用を失うという同じ轍(てつ)を踏む」
――提訴にポータル大手のライフルホームズがありません。
「物件情報の掲載で契約を締結していないため見送った。仲介手数料の情報掲載に制約があるかを明確に確認できない。ただ、不動産仲介会社に制約が課せられていると推察している」

























