きちんと管理されている高経年マンションでは、間取りも変えて、新しい専有部分をつくる「リノベーション」(以下、リノベ)が盛んになります。見学会やチラシの写真等で心が動きます。住み続けることを前提にリノベをする方もいますが、入居者が入れ替わる際に不動産業者主体で行われるものが多くなっています。建替えを検討する場合、長く暮らす高齢者より、リノベで新築同様の住戸に入った人が反対するケースが結構あると聞きます。もし、耐震性の確保が難しいから建替えを検討すると言われても、例えば1000万円をかけてリノベをしたばかりの住戸の方は当然、反対するでしょうから。
宅地建物取引業法が改正され、18年4月以降、中古住宅の売買契約時の重要事項説明の際に、耐震診断、耐震改修の有無を記載した書面が交付されるようになりました。旧耐震基準のまま、耐震診断・改修をしていないマンションは、新耐震基準への適合性を証明する書類なしと記載されるわけです。それでも、それによって旧耐震マンションのリノベが減ったという話は聞きません。
ある新聞で、リノベが続いて騒音や振動に苦しんでいる居住者のことが記事になっていました。築50年のマンションです。旧耐震マンションですが、耐震改修のことは一言も書かれていません。おそらく、耐震改修をしていないマンションだと思います。ポストには、「売る人いませんか」「業者がリフォームするので、そのまま退去OK」とチラシが入っていて、入居者が決まるとすぐに大規模なリノベ工事が始まるといいます。
将来の足かせにも
もし、このマンションが耐震改修の実施を前提に長寿命化を目指しているのだったら、この時期、一定のルールの元でリノベを進めるのは致し方ないと思います。今、騒音等で苦労している居住者も、今後を考え、自分たちの住戸もその日が来るかもしれないと考えて、明るく過ごすしかありません。
しかし、このマンションが耐震改修を考えておらず、また長寿命化の対策も特に考えていないのであれば、どこかでリノベを止めないと、どちらにも進めないことになってしまいます。騒音問題を超えて、このことにリノベ問題の本質があると思います。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
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