明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第442回 「プラスαルーム」のあるマンション 様々なサービス提供に有効
住宅新報 2022年7月12日 号 4面
【学生の目】
千葉県浦安市にある明海大学周辺は第一種中高層住居専用地域に指定され、中高層の建物が立ち並んでいる。大学の通学時にいつも目にするマンションを調査した。まず目についた1つ目は、前面道路が幅員50メートルのシンボルロードで、十分な幅員と緑があるにもかかわらず、道路境界線から大きく後退していることだ。後退部分に塀はなく、歩道と一体的に自由に通行できる。敷地境界線にこだわらないおおらかな土地の使い方により、道路だけでなく空も広く見える。
2つ目は、1階に店舗か事務所か判然としない不思議な部屋があることだ。調べると、1980年代後半から都市基盤整備公団(現UR)が供給した「プラスαルーム」のようだ。団地は21世紀型住宅を意識して1989年に開発された。趣味を楽しむ場所として「プラスαルーム」を配置し、それを通じた触れ合いのある街づくりを目指した。21世紀の今、「プラスαルーム」は様々に利用されている。写真は内装工事や水回りの整備などを行うリフォーム会社で、住宅の改修やトラブルを身近で相談できる。喫茶店や趣味の品を売る例もあり、想定した趣味や触れ合いが実現できている。また、最近話題の在宅勤務にも有効だ。
開発方針の一つである美しい景観形成のためのシンボルツリーが成長し過ぎて、店舗が見えにくくなっている。赤や白の花が咲き、南国のリゾート地のような明るく華やかな印象は貴重だが、建物との関係が窮屈なのは残念。余裕は十分あるから少し前に移植したらどうだろう。
3つ目は、入口のデザインと数である。最近のマンションは1カ所の入口をオートロックにしてセキュリティを確保する。ここの入口はドアのないトンネル状で、誰でも中に入れる。防犯が心配な半面、ゆとりのあるスロープに存在感がある。30年前の予想では21世紀の住宅はセキュリティよりもバリアフリーが重要だったのだろうか。
入口の数は開発方針の一つである街並み参加型住宅と関係しているようだ。たくさんの入口が街と住民の接点を増すことは確かだ。ベランダのデザインや奥行きに変化があって単調さや威圧感を与えないことも街並みを意識したものだろう。
超高層マンションが増えて街とマンションの接点が少なくなる中、20世紀に考えた21世紀の住宅にいろいろなことを学ぶことができる。 参考:https://www.uhs.gr.jp/gall/html/urayasumarina.html
【教員のコメント】
集合住宅はいつの時代も夢がある。関東大震災後の義援金で設立された同潤会アパートは最初の本格的な公的住宅で、端正なデザインが惜しまれながら姿を消した。20世紀に考えた21世紀の住宅は同潤会アパートに通じるものがあって痛快だ。























