街の不動産トラブルを解決する 7 調停人候補者紹介 【調停人候補者】 高橋孝治氏 立教大学アジア地域研究所 特任研究員(法学博士)
住宅新報 2022年6月28日 号 9面
連載: 街の不動産トラブルを解決する
不動産トラブルの事例として多いのが、敷金返還問題です。例えば契約当初は「敷金は形だけで、賃貸借契約終了時に絶対に返還する」という口頭の約束はしていたものの、大家が当該賃貸不動産を売却し、新大家は「そんな口約束は知らない。敷金は返還できない」と言われたなどの問題があります。無論、そのような口約束がなくても、敷金は法律上返還しなければならないのですが、そのような法律は徹底周知されているわけではありません。
私はこれまで、法律学の研究活動や行政書士などの資格の縁によって、先述のような不動産トラブルに関する法律相談なども行ってきました。しかし、それは非弁行為とならない範囲での「当たり障りのない相談」でしかありませんでした。そこで、更に一歩踏み込んで、紛争になった問題などの解決への協力もできたらと考え、調停人候補者になろうと考えたのです。
続いて、ADRについて、私の思うところをお話いたします。司法手続きは、遅い、高い、手間がかかるとなっており、より簡便に紛争解決ができるADRという仕組みが導入されたことは歓迎すべきであると思います。しかし、執行力などの強制力がなかったり、結局両者が納得しなければ話がまとまらなかったり、ということもあり、裁判を補完しきるものにはほど遠いかもしれません。だからこそ、これからもADRのあり方は模索され続け、場合によっては裁判自体のあり方に手を入れることも考慮する必要もあるかと思います。

























