紙上ブログ不動産屋の独り言653 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 案内を受ける本当の理由は? (下) 値段交渉した努力が無に
住宅新報 2022年5月17日 号 6面
役所の生活福祉課や社会福祉協議会などとタイアップして部屋探しに困窮している人専門で相談に乗ってくれる業者がある。その会社の営業ウーマンOさんとは懇意にしていて、私が逆に相談に乗っていることもあるので、私からの相談にも快く乗ってくれ親身になって協力してくれる。もちろん客を紹介しても当社は仲介料はいただかない。訳ありで部屋を探して管理会社や家主を説得するだけでも大変なのだから、丸投げしておきながら利益のおこぼれにあずかろうとは思わない。
条件にぴったり
知人にその業者とOさんのことを説明し、Oさんからの連絡を待つように伝え、Oさんには今までの経緯や状況などを包み隠さず伝えて、後はお任せすることにしたら、数日後に電話があり、「今度直接会って希望を詳しく聞いて、物件を探して案内しますね」とのこと。まだ生活保護を受けていない、という厳しい状況の中、聞いていた条件にぴったりの物件を見つけたのだが家賃が6万円。それを元付け業者が家主と交渉して単身者の生活保護の家賃の上限の5万3700円まで値下げしてもらい、それを伝えると・・・、「ああ今回は見せてもらっただけですから」との返事。断るにしても、その言い方はないもの。それならば案内を受ける前に「今はまだ決められませんので」と断っておかなければならないだろう。難しい条件にもかかわらず、部屋を探して値段交渉までしてくれた関係者の努力を無にしていては、紹介した客付け業者や私の信用問題だ。
事前に約束を
今まで当社で案内をする際に客から交渉事が入った場合、私は「もし家主が交渉事に応じてあなたの希望を受け入れてくれたなら、必ず申し込みをしてキャンセルしない、と約束していただけますか? 交渉だけして決めないで『他も見てみたいから』などと言われたなら当方の信用問題になります。約束してくれるなら責任を持って交渉いたします」と客に伝えている。自分の都合だけ押し付けて無責任な態度を取るなら二度と部屋探しはしない。過去にそれでトラブルになったり、一度は了解していたのに申し込みをしなかった客は一人だけで、今回で2度目。部屋探しをしているのは何かほかの理由があるかも。
(坂口有吉不動産・社長)























