明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第434回 保存樹のある低層集合住宅地 自然豊かな住環境に魅力
住宅新報 2022年5月17日 号 4面
【学生の目】
大学がある千葉県浦安市の新浦安駅付近には、どこからでも見える高層ビル、超高層マンションやショッピングモールがあってにぎやかだ。ショッピングモールと道路を隔てた一角は道路沿いに土手があり、自然林のような樹木に覆われていて建物が見えない。いつもはその理由や中の土地利用を気にもせず、大学に向かって通り過ぎるが、視察してこれまで気にしていなかったことが不思議なくらい強い印象を受けた。
そこはひときわ緑豊かで閑静な低層集合住宅地になっていた。駅に近くショッピングモールや生活施設が利用できる利便性の高さ、住宅から東京駅まで30分以内の立地のよさからは想像できないほど親しみやすく、住みやすい住宅地という印象を受けた。
まず、車両の乗り入れを禁じている。入口付近に集合駐車場があり、そこに車を止めて中に入る。歩車分離が徹底され、歩行者、特に子供やお年寄りに優しい空間構成になっている。木に囲まれたテニスコートや噴水広場等があり、子供が安心して遊ぶことができる。
最大の魅力は、自然豊かな環境である。3階建ての住棟間は北側住戸の専用庭、共用の庭と通路で構成されている。低層階は専用庭の垣根で、上層階は共用庭の木でプライバシーが保護されている。低木と高木がバランスよく植えられており、日光が入る工夫もなされている(写真)。
緩やかに蛇行するタイル仕上げの通路は、車両の跡もなくきれいで、一般の道路とは比べようもなく優しい空間だ。共用庭ではオオシマザクラやケヤキ、ヤマモモが大きく成長していて、浦安市保存樹木に指定され、条例で保護されている。
高層マンションが建つと日影が多くなり、これほど緑豊かな環境はつくれない。風害も発生し、緑はあっても生活の一部として楽しむことはできない。これだけ緑が多いと管理に手間と時間がかかる。管理する人も見かけたが、管理する人も管理を委託する人も緑を大切にしているように感じた。
防犯性はどうだろう。居住者が顔見知りでコミュニティがありそうなことに加え、住宅が木で覆われているため、部外者が侵入しにくい雰囲気がある。一方、犯人が隠れることができる茂みがある。また、住宅の光を木が遮って夜の通路は暗そうだ。しかし問題があればなんらかの対応をしているはずで、開放的な屋外空間は十分な防犯性を備えていると思われる。
【教員のコメント】
戸建てと集合住宅の良さを持つ接地型低層集合住宅は期待に反して普及しなかった。好立地、低密度で高層マンションへの建て替え圧力があるとしても、50年余で豊かに熟成した住環境は住みたい人に住み継いでほしい住宅史のレガシーである。























