不動産市場異聞 大東建託賃貸未来研究所・AIDXラボ所長 麗澤大学経済学部客員教授 宗 健 第65回 人と会うことの大切さ
住宅新報 2022年4月5日 号 7面
連載: 不動産市場異聞
新型コロナによる緊急事態宣言が初めて発出されたのは20年4月7日であり、あれからもう2年になるが、ビジネスの世界ではオンライン中心の非対面でのやりとりが定着した一方で、人と会えないことによる弊害を感じている人も多い。
オンラインでは限界が
コロナ以降は、業界団体の会合、学会の研究会などは、ほぼオンラインになった。開催自体がなくなったものも多く、接待はもちろん懇親会やパーティもなくなった。
それでもビジネスは回っているのだからいいではないか、今までのやり方に無駄が多かったのだ、という意見もあるようだが、新しい人と会わず、人間関係が固定化し縮小していくことの弊害は時間が経過すれば大きくなっていくだろう。
コロナ以前なら様々な場に人が集まることで、偶発的な出会いやその場での紹介などを通じて人間関係を広げていくことが出できたが、オンラインの会合にはそのような出会いはほとんどない。しかもオンラインでは名刺交換もままならず、誰と会ったのかの履歴も残しにくい。
結局、オンラインでの人間関係構築には限界があるのだ。
実際、筆者が21年9月に実施した「新型コロナウイルスによる意識変化調査(5回目)」では、「新しい人との出会いがなくなった」という回答は66.6%と高い。
テレワークと効率の関係
この調査では、「通勤はストレスである」という回答は、テレワーク実施者の59.6%、テレワーク未実施者で45.5%、全体では48.7%となっており、仕事の効率に関しては、「コロナ前より上がった」という回答は、全体で31.7%、「仕事のスキルや能力が上がった」という回答も、36.9%に過ぎない。
テレワーク実施者では、仕事のスキルや能力が上がったという回答が50.3%と過半数を超えるが、これはテレワークで必要になった新しいITツールを使えるようになったことの影響だろう。一方で仕事の効率が上がったという回答はテレワーク実施者でも43.8%に過ぎず、全体としてテレワークが生産性を向上させているとは言い切れないようだ(下記表参照)。
出会いの重要性を再認識
「人と会うことは大切だと再認識した」のはテレワーク実施者で50.9%と過半数を超えるが、テレワーク未実施者では36.1%と低い。一方で、「新しい人との出会いが無くなった」という回答は、テレワーク実施者で76.8%と非常に高く、テレワーク未実施者も63.6%と高い。
当然とも言えるがテレワーク実施者は、人との出会いがなくなったと感じている人が多いことで、人と会うことの大切さをより強く再認識したのだろう。
こうした人との出会いは、組織外だけのことではなく組織内でもあることで、テレワークへの移行や、飲食・会合の自粛は、組織内での人間関係構築を阻害している可能性もある。その影響をもろに受けたのが、20年と21年の新卒社員だろう。
これから徐々にコロナ以前に戻っていくと思われるが、自分自身の人脈形成、再構築と同時に若い人たちのケアにも注意したいものだ。
そうたけし‥87年九州工業大学卒、リクルート入社。リクルートフォレントインシュア社長、リクルート住まい研究所長を経て現職。筑波大学博士(社会工学)・ITストラテジスト


























