建築家が主人公の小説は「美しき町」(佐藤春夫)や「ランドマーク」(吉田修一)、「水の迷宮の夢」(ヨシフ・ブロツキー)など多数ありますが、建築そのものや、建築事務所の仕事についての蘊蓄(うんちく)を中心に、描かれたのが「火山のふもとで」(松家仁之・まついえまさし)です。
時代設定は70年代末~80年代初頭。登場人物は昔風に言えば、「ペダンティックでハイブロー」、今風に言えば「オシャレでクール」な人々です。ストーリーはアトリエ系の有名建築事務所に新人として入所した主人公がアトリエの先生や他の所員、クライアント等と関係を持ちながら、国立図書館の指名コンペの仕事を通じて成長していく、というものです。オマケのように恋愛関係も出てきますが、全体としては建築家や建築に関する蘊蓄小説と言えます。
建築事務所は東京の青山と軽井沢にあり、夏になると事務所全体が軽井沢の別荘に移動します。この別荘は「夏の家」と呼ばれ、ストーリーはここで展開します。

























