世界には思いもよらない、想像を超えた建築物がたくさんあります。映画にもなっていますが、ピカソやアンドレ・ブルトンが絶賛し、フランス政府指定の重要建造物となった「シュヴァルの理想宮」は、フランス南部オートリーブの郵便配達夫が造り上げた建築物です。徒歩で郵便配達中のフェルディナン・シュヴァルは石につまづき転倒します。腹立ちまぎれに、その石を掘り出してみると算盤の玉を重ねたような奇妙な形で、この形がシュバルを魅了しました。というのも、グラフ雑誌でアンコール・ワット遺跡発見の写真を見て、その造形に強い興味を持っていたからです。
配達で一日に32キロ歩くシュバルは配達の傍ら、面白い形の石を集めるようになり、溜まりに溜まった石を使い、1879~1912年にかけてエジプト、ギリシャ、バロック、ゴシック、アジア、マヤなどの様式を折衷した、奇妙で独創的な建築物を作り上げました。そして、冒頭に述べたように「素朴派建築」として高い評価を受けたのです。一人になれる小屋 ワインの好きな方は溜まった空き瓶を見て「何かに使えないか」と思ったことが、一度ならずあると思います。空き瓶を横にして高く積み重ね、隙間にモルタルを充填すれば緑色の透明な壁になります。英国のリチャード・ドムという老人は、コンクリートフレームを補助にして直径5メートルのドーム型Shed(小屋)を建てました。「Shed of the Year」という、その年に話題となった小屋を選ぶ賞で2000以上のエントリーの中からファイナリストに選ばれています。床から天井まで半透明のワインボトルで覆われたドームの中は幻想的で、英国人男性の好む「一人になれる小屋」としては、グレードの高いものといえそうです。
中近東の民家は居住地の周辺にある粘土質の土を使って日干しレンガを造り、これを積み重ね、その上に土を塗って仕上げてあります。「シュヴァルの理想宮」やワイン瓶の小屋も周辺にある自然物や廃棄物を使った建築物です。このような考え方を発展させたのが「アースシップ」(Earth Ship)という理念です。ニューメキシコを拠点とする米国の建築家マイケル・レイノルズによって造られた言葉で、商標登録もされています。

























