紙上ブログ不動産屋の独り言639 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 家主さんから〝おいしい〟話 ある老婦人の顚末を思い出す
住宅新報 2022年2月8日 号 6面
うちの管理物件の家主さんからこんな相談を受けた。「私も年で、死ぬまでに行きたいところがいっぱいあるんだけど、このコロナ騒ぎで旅行なんてできなくて、一人旅もしにくいし、誰か一緒に行ってくれないかなあ。一緒に行ってくれる人の旅費も私が持つんだけど」とのこと。家主さんは90歳の女性で、差し当たっては三陸海岸を旅したいとのこと。岩手出身の女房に聞いたら、「今の時期は寒いから、暖かくなってからでないと無理」とのこと。それはそうだろう。
旅行に誘われ
旅費が向こう持ちだから、というのでなく、家主さんとは30年の付き合い。私は男だが70歳だし、おかしな心配もいらないから、「よろしかったら私がお供しますよ。もちろん自分の旅費は自分で出しますし、荷物持ちでも何でもします」と伝えると、「いいわよ、私が出すわよ。じゃ、日程やコースを考えといてくださる?」とのこと。家主さんは財産なんか残さずキレイに使って「ああ楽しかった」と思いながら死にたい、という希望も。もちろん、それは現金の話で、不動産なんかは売り払うわけにはいかないから嫌でも残る。それについては残された人が困らないよう、今、手を打っているところ。私も協力している。























