常日頃(75) 第5部 「私と仕事」(1) ブルースタジオ専務取締役 クリエイティブディレクター 大島芳彦氏 『自分らしい達成感』求める時代
住宅新報 2011年10月25日 号 7面
03年、東京・南青山で築38年のオフィスビルが1棟丸ごとSOHOタイプの賃貸住宅にコンバージョンされた。その「ラティス青山」(事業主=日本土地建物)のデザイン監修をした頃から一躍有名になったブルースタジオ。古い建物に新しい価値を吹き込むリノベーション事業が得意で、グッドデザイン賞を連続受賞するなど多くの実績を誇る。同社専務の大島芳彦氏に再生ビジネスの醍醐味を聞いた。
――直近では、UR都市機構のルネッサンス事業「たまむすびテラス」(東京・日野市)が完成し、10月22日にはまちびらきイベントが行われました。築50年の団地を生まれ変わらせた感想は?
「これからが本当の仕事になる――という思いです。我々が担当した菜園付き共同住宅『AURA243多摩平の森』は、入居者同士の交流が大きなコンセプトになっていますが、どんなハプニングが起こるのか楽しみですね」
――最近は普通の分譲マンションでも、コミュニティー形成を支援する試みが活発化していますが、それとの違いはありますか。
「AURAは賃貸住宅ですから、分譲マンションのコミュニティーとは少し目的や意味合いが異なるかもしれませんが、日常の生活を大事にするという狙いは同じです。そこで気をつけなければいけないのは、貸し菜園や専用庭の提供にしても、それが供給者側の押し付けになってはいけないということでしょうね」
リノベ物件人気の秘密
――リノベーション物件の人気が高まっているのはなぜですか?
「それは、個人が達成感を求める時代になったからです。まず、中古だと場所が自由に選べます。内装も自分の感性にぴったりなものにすることができますから、自分だけの住まいを手に入れることができたという喜びがあるわけです」
――でも、人間が達成感を求めるのは昔からではありませんか。
「自分らしい達成感、自分らしいというところがポイントです。一生懸命勉強して有名大学に合格すれば大きな達成感がありますが、それは合格したみんなが経験するものです。そうではなくて、例えば自分が旅行してみたい国の語学をマスターして実際に出かけて行く、そういう自分だけの達成感が求められているのだと思います」
――今後は、特にどのような仕事に力を注ぎたいですか。
「建物だけでなく、そこに住む人の生活全般に係わっていくような仕事です。生活という時間を売っていく仕事と言ってもいいかもしれません。単に理想の住まいを手に入れるだけでなく、その過程で生ずる様々な状況を想定し、全体を一つの流れ、物語として提案するような仕事ができないか考えています」
――一般の住宅仲介でもこれからは、顧客の生活コンサルティングになっていくのだと思います。
――最後に、どなたにも伺うことにしているのですが、大島さんにとって仕事とは何ですか。
「コミュニケーションです。仕事をするためには会社のスタッフがいて、関係先の人たちがいて、顧客がいて、その顧客の先にも関係者がいます。その人たちに、まず自分が働きかけ、ムーブメントを起こすわけですから自分の意図がうまく伝わらなければ仕事はできません」
「その意味で、仕事はコミュニケーションそのものですし、自分が起こすムーブメントには明確なメッセージ(提案)が込められているべきだと思います」 (聞き手・本多信博)
<会社概要>
所在地=東京都中野区東中野1-55-4大島ビル第2別館
設立=平成10(98)年
代表者=大地山博社長
電話=03(5332)9920
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一級建築士事務所





















