明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第416回 ビルトインガレージの集合住宅 余暇と癒やしの時間・空間コラボ
住宅新報 2022年1月11日 号 4面
【学生の目】
クリスマスツリーやイルミネーションが華やかに街を彩る年の瀬の街で、写真の建物に目が止まった(写真)。角地に立つ集合住宅で1階部分が「ビルトインガレージ」になっている。角地の効用を生かして土地の有効活用を図り、正面道路から2台、側道から1台駐車可能である。
ビルトインガレージは建物の一部や1階部分に内蔵されたガレージを指し、ガレージハウスやインナーガレージとも呼ばれる。車好きなら手に入れたい居住形態である。普及は戸建て住宅が中心だが、賃貸住宅でも注目され、立地に劣る空き家の再生や工場・倉庫のコンバージョンで採用が増えている。
趣味の対象を大切にして一緒に過ごす点では、ペット共生住宅とも通じ、余暇や癒やしの時間と空間のコラボが新しい時代を感じさせる。
ビルトインガレージのメリットは、悪天候から車を守り、日射による褪色を防ぐことができることだ。いたずらや鳥の糞の心配がなく、車を大切に保管できる。住宅内からは愛車が近くに見えて満足度が高く、道路からは車が見え隠れになって上品さが維持できる。車、居住者、建物、街並みがバランスを取りつつ、つながる点が特徴だ。
一方、デメリットは、屋内に車の汚れや油が進入する、騒音や振動が響く、居住部分の間取りが制約される、柱やはりに工夫が必要、工事費が高くなる、建ぺい率が課題となるなどである。
この建物は、住宅と駐車場が併存する点でビルトインガレージといえる半面、車、居住者、建物、街並みのつながりが十分とはいえない。車好きには整備点検、荷物の積み下ろしや洗車など、車と濃厚に関わるスペースが欲しいがそれに欠け、駐車場が独立していて居室から車を感じることができない。ピロティに停めた車の存在は道路から丸見えで、2つの前面道路のほとんどを車のために切り欠いた効率優先の土地利用は歩行者や景観にはマイナスだ。
この建物は、駐車と居住を効率的に両立させる一般的な建て方で、近年注目されているビルトインガレージとは歴史も背景も異なる。優劣の比較はできないが、好みや志向が変化する中で市場の競争力を保つために、改修案を用意しておくことは無意味ではないと考える。車を1台少なくする、車の見え方を工夫する、道路の切り下げを少なくするなど、余暇や癒やしの時間と空間がコラボする様子を感じることができると通行人にも楽しい。
【教員のコメント】
かつて交通手段の馬は、都市部では専用の路地(Mews)の小屋に住んだ。住宅と併存が容易な車社会では正面道路からの出入りと駐車が一般化したが景観の課題がある。ビルトインガレージは高コストだが車にも街並みにも好都合である。























