紙上ブログ不動産屋の独り言633 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 鍵を落とした入居者からの電話 家主の帰宅を待つというが
住宅新報 2021年12月21日 号 7面
当社から徒歩5分くらいのアパートに入居中の男性から、夕方6時頃電話があって、「帰ってきたら鍵がなくて部屋に入れないんだけど、どうしたらいいですか。そちらに合鍵はありませんか」と聞く。あったとしても店には戻りたくない時間である。男性は建設現場で働いていて、ズボンのポケットに穴が開いていて、現場で落としたらしい、とのこと。現場は遠いし、もう暗いから現場に戻るという選択肢はない、と言う。1階には家主が住んでいてマスターキーを持っているので私から電話をしたのだが、あいにく留守。携帯電話も出ない。いたならとりあえず鍵を借りて、翌日現場で見つけたら返却すればよいのだが、いないし、いつ帰るかも不明なので、そうなると、高くても鍵屋を呼ぶしかない。
脳裏をよぎる
鍵屋が言うには、「現地で合鍵を作るだけなら1万5000円だけど、合鍵を作るためには一度ドアを開けなきゃならないから、両方で2万5000円くらいはみてもらわないと」とのこと。そう伝えると、「大家さんが帰ってくるまで下で待っています」とのこと。「今日、帰ってくるかどうか分からないし、鍵屋を呼んだほうがいいよ」と言ったのだが、「いいえ、待ちます」と言う。ならば知らない、凍死したって私の責任ではない。以前も真冬に、私が具合が悪くて早めに店を閉めて帰宅し、「さあ寝よう」というときに「鍵を会社に忘れてきたから、そちらにある合鍵をすぐ届けてよ」と言ってきた入居者がいて、やはり金がかかる鍵屋を呼ぶことをせず、鍵を届けさせられたことがあって、それが脳裏をよぎった。























