竹井英久の 思案あれこれ (1) 宅建業法とコンプライアンス
住宅新報 2021年11月30日 号 7面

竹井英久氏
宅建業のコンプライアンスを語るとき、考えたいことがある。それは、宅建業法では宅建業者が売買などの当事者である取引と、委託者のために働く仲介取引を同じテーブルに載せていることです。また、プロ/プロ取引、プロ/アマ取引、アマ/アマ取引の区別もなく、すべての取引が消費者保護のような流れで語られます。更に物件種別、例えば住宅と商業不動産、居住用と収益用不動産との区別もありません。取引の態様によりコンプライアンスも変わるはずなのに、宅建士には一律に聖人君子を求めているようですが、これでは混乱を招くだけです。
宅建業法は戦後の住宅不足時代に業者による詐欺的行為の横行から消費者を守るためにできた規制法ですが、今はストック活用の時代となり、アマ/アマ取引が増え、収益不動産の売買も活発化しているときに、一律の規制ではうまく機能しないのではないでしょうか。
プロ/プロ取引では詐欺的行為は別として、商売としての営業行為は認められるでしょう。しかし、プロ/アマ契約では情報格差が大きく、プロとして消費者保護のために隠し事なく真摯(しんし)に業務遂行する義務が生じます。情報公開においても、個人資産として大きな割合を占めると同時に社会資産でもある住宅はその円滑な流通のため価格の公開なども求められます。しかし、商業不動産はそうした必要はないでしょう。商業不動産はレインズへの登録も契約が決まった後に行われていますし、収益不動産の住宅は内見もせずに購入するわけですから、重説の意味合いも買主責任の範囲も違います。























