不動産現場での意外な誤解 売買編158 移記閉鎖登記簿にはどのようなものがあるか? 登記のコンピュータ化や粗悪用紙、枚数過多による移記閉鎖登記簿があります
住宅新報 2021年9月14日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 前回は、不動産の閉鎖登記簿としての「移記閉鎖登記簿」の話が出ましたが、それは主にコンピュータ化が進められたことによるものということですか。
A そればかりではありませんが、コンピュータ化に伴うものは、昭和63年の「不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律」に基づいて行われたもので、具体的には、登記簿に「昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記」と記載されており、その登記簿謄本には、認証文として「これは閉鎖登記簿の謄本である」と記載されているものです。
Q このコンピュータ化による移記作業においては、今まで記載されていた登記内容がかなり省略されていますが。
A それは、その昭和63年の法務省令(施行規則)に「現に効力を有しない登記を省略することができる」と定められているために、権利関係については、現に有効な記録だけがコンピュータに移記されているからなのです。したがって、抹消済みの抵当権や転々売買された売主などは移記されていません。
Q コンピュータ化以外の事情による「移記閉鎖登記簿」にはどのようなものがあるのですか。
A それは、一般に「粗悪登記用紙の移記」による閉鎖登記簿と呼ばれているもので、戦中・戦後の物資不足によって粗悪な登記用紙が用いられたことによる紙の傷みや損傷に対処するためにとられた措置で、「法務大臣の命により移記」されたものです。そのため、その登記簿謄本には認証文として「これは法務大臣の命により移記した閉鎖登記簿の謄本である」と記載されています。
それ以外のものとしては、いわゆる「枚数過多による移記」による閉鎖登記簿があります。これは、コンピュータ化以前は紙の登記用紙を使っていましたので、権利が移転するごとに枚数や記載内容が増加し、それに対処するために、現に効力を有する部分のみを新しい登記簿に移記し、元の登記簿を閉鎖していました。これが「枚数過多による移記閉鎖登記簿」と呼ばれるものですが、旧不動産登記法76条に規定されていたもので、その登記簿謄本には、認証文として「これは閉鎖登記簿の謄本である」と記載されています。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男























