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スタンダード会員限定2021 宅地建物取引士受験セミナー (31)

住宅新報 2021年8月24日 号 9面

連載: 2021宅地建物取引士受験セミナー

資格・実務

【問題4-1】

 A、B及びCが、甲建物を共有(持分は均等)している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)Aが無断で甲建物の全部を使用している場合、B・Cは共同すれば、直ちに甲建物全部の明渡しを請求することができる。

(2)甲建物を第三者Dが不法に占拠した場合、A、B及びCは、それぞれ単独で、Dに対して甲建物の明渡請求を行い、また、損害全部について請求の訴えを提起できる。

(3)裁判による共有物の分割は、現物分割が原則であるが、一定の場合には、甲建物をAの単独所有とし、AからB・Cに対して持分の価格を賠償させる方法によることも許される。

(4)A、B及びCは、いつでも甲建物の分割を請求することができるが、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約も有効である。ただし、この契約は更新できない。

【問題4-2】

 A所有の甲建物についての所有権移転登記と権利の主張に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)Aが甲建物をBに賃貸し、Bに引き渡した後、AがCに当該建物を売り渡した場合、Cがその所有権移転登記をしていなくても、Bは、Cからの賃料支払請求を拒むことができない。

(2)Aから甲建物を取得したDは、権原なく甲建物を占有しているEに対して、AからDへの所有権の移転登記をしていなくても、甲建物の所有権を主張して当該建物からの退去を請求できる。

(3)Aが所有する甲建物の所有権を取得時効の完成により適法に取得したFは、登記なくして、時効完成後にAから甲建物を譲り受け登記を経たGに対して、所有権を対抗することができる。

(4)Aが甲建物を順次HとIに二重に譲渡した場合、Iが背信的悪意者であるときは、Iから当該建物を善意で譲り受けたJも背信的悪意を承継するので、Hより先に登記を備えたとしても、Jは、Hに所有者であることを主張できない。

【問題4-3】

 AがBに対して有する甲債権(民法466条の5の預貯金債権ではない。)をCに債権譲渡する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)AからCに譲渡された甲債権が将来債権(現に発生していない、将来発生すべき債権)であっても、その譲渡は有効であり、Cは譲渡契約時に甲債権を取得する。

(2)甲債権に譲渡制限の意思表示があった場合、Cが重大な過失により当該意思表示の存在を知らなかったときは、Aは、依然としてBに対する甲債権の履行請求権を有する。

(3)Cが債権譲渡によって甲債権を取得したことをBに対して主張するための要件である通知は、Aのみがなしえ、CがAに代位又は代理してすることはできない。

(4)Bは、異議を留めないで債権譲渡の承諾をした場合であっても、その承諾までにAに対して生じた事由をCに対抗できる。

【問題4-4】

 請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)請負契約により制作された物の所有権の帰属については、特約があればそれに従うが、家屋完成前に請負代金の全額が支払われていた場合には、特別の事情がない限り、建築家屋は工事完成と同時に注文者に帰属させるという暗黙の合意が当事者間にあると推認される。

(2)請負人が注文者に対して、物の引渡しを要する場合は、請負人の目的物引渡義務と注文者の報酬支払義務は同時履行の関係に立つ。

(3)請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約を解除できる。

(4)請負人の契約の内容に適合しない品質の制作物を注文者に引き渡した場合、注文者は、その引渡しの時から1年以内にその旨を請負人に通知しないと、履行の追完等の担保責任を請負人に追及できない。

【問題4-5】

 親族に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)親族の範囲は、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族である。

(2)生命を侵害された者の父母、配偶者及び子は、加害者に対して慰謝料請求権(精神的損害に対する損害賠償請求権)を有するが、これら以外の者にこの請求権が認められることはない。

(3)親権は、父母の婚姻中は父母が共同して行うので、父母の一方が他方の同意なしに共同名義で子の財産行為を行った場合は、相手方が善意であっても無効である。

(4)夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、原則として、連帯責任を負わない。

【問題4-1】 正 解 (3)

(1)は誤り。

 現に占有中の共有者も、持分権に基づいて共有物を使用する権利を有する(民法249条)ので、他の共有者(持分の価格が過半数を超える場合でも)は当然にはその明渡しを請求できない。明渡しを求めるためには、「明渡しを求める理由」を主張立証しなければならない(最判昭41.5.19)。

(2)は誤り。

 建物の明渡請求は共有物の保存行為であり、各共有者が単独で行うことができる(同法252条、大判大10.6.13)。しかし、不法占拠者に対する損害賠償請求権は、各共有者の持分に応じて分割帰属するので、各共有者は、単独では、その持分相当額の損害賠償しか請求できない(最判昭41.3.3)。

(3)は正しく、正解。

 裁判による共有物の分割は現物分割を原則とするが、一定の場合には、共有物を1人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(全面的価格賠償)によることもできる(同法258条、最判平8.10.31)。

(4)は誤り。

 不分割の特約は更新できる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることはできない(同法256条)。

【問題4-2】 正 解 (2)

(1)は誤り。

 他人に賃貸されている不動産の譲受人は、その所有権の移転登記を経由しなければ、賃借人に対抗できず、賃貸人の地位も主張できない(民法177条、最判昭49.3.19)。Bは、Cの賃料支払請求を拒むことができる。

(2)は正しく、正解。

 不動産の不法占拠者は、民法177条の第三者に該当しない(同法177条、最判昭25.12.19)。したがって、Dは、登記なくして甲建物の所有権を主張して、退去を請求できる。

(3)は誤り。

 時効取得者と時効完成「後」の承継人(買主など)は二重譲渡と類似の関係に立つので、時効取得者は、登記を備えなければ時効取得を主張できない(同法177条、最判昭33.8.28)。

(4)は誤り。

 背信的悪意者から不動産を譲り受けた者であっても、自らが背信的悪意者でない限り、当該不動産の所有権を第三者に主張できる(同法177条、最判平8.10.29.)。

【問題4-3】 正 解 (4)

(1)は誤り。

 将来債権(将来発生する債権)も譲渡することができる(民法466条の6第1項)。そして、譲受人は、将来その債権が「発生したとき」に、その債権を当然に取得する(同条2項)。譲渡契約時ではない。

(2)は誤り。

 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(譲渡制限の意思表示)をしたときであっても、債権の譲渡は有効である(同法466条2項)。したがって、譲渡人は、債務者に対する履行請求権を有しない。

(3)は誤り。

 通知は譲渡人のみがなしうるもので、譲受人が代位して行うことはできない(同法467条1項、大判昭5.10.10)。ただし、代理人として通知することは行える。また譲受人は、譲渡人に対して譲渡の通知をするよう請求できる。

(4)は正しく、正解。

 債務者は、対抗要件具備時(債権譲渡の通知を受け、又は債権譲渡の承諾をしたとき)までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる(同法468条1項)。

【問題4-4】 正 解 (4)

(1)は正しい。

 建築された家屋の所有権の帰属に関する判例である(民法632条、最判昭44.9.12)。

(2)は正しい。

 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない(同法634条本文)。したがって、請負人の目的物引渡義務と注文者の報酬支払義務は同時履行の関係に立つ(大判大5.11.27)。

(3)は正しい。

 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約を解除できる(同法641条)。

(4)は誤りで、正解。

 引渡しの時からではなく、「不適合を知った時」から1年以内である(同法637条1項)。この通知を怠ると注文者の権利が失効する。

【問題4-5】 正 解 (1)

(1)は正しく、正解。

 親族の範囲は、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族である(民法725条)。

(2)は誤り。

 生命を侵害された者の父母、配偶者及び子(以下、三者という)は、加害者に対して慰謝料請求権を有する(同法711条)。ただし、三者以外の者であっても、三者と同視できる身分関係にある者(被害者の夫の妹など)には、本条の類推適用がある(最判昭49.12.7)。

(3)は誤り。

 親権は、共同行使が原則である(同法818条3項)。したがって、父母の一方が単独でなした財産行為は無効である(最判昭42.9.29)。ただし、その一方が他方の同意なしに「共同名義」でした子の財産行為は、相手方が善意であれば有効である(同法825条)。

(4)は誤り。

 日常の家事に関する債務については夫婦で連帯責任を負うのが原則である(同法761条)。共同生活を営む家屋の賃貸借契約などは「日常の家事」に属する。

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