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プレミアム会員限定紙上ブログ不動産屋の独り言616 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 他社なら断ったであろう依頼2 入居者に試されているのか

住宅新報 2021年8月24日 号 7面

連載: 不動産屋の独り言 〜賃貸現場の喜怒哀楽〜

売買・賃貸仲介

 郵便局へのお使いを頼まれて、電車とバスを乗り継いで片道1時間もかけて高齢婦人のアパートまで行ったのだが、依頼はそれだけでは終わらなかった。2週間ほどして「おにぎりを買ってきてほしいの」との電話。聞けば今食べられるのはセブンイレブンの昆布と鮭のおにぎりだけ。他のコンビニのおにぎりは食べられない、と言う。不思議な話である。偏食の激しい私でさえ、そんな贅沢は言わない。しかも「昆布5個、鮭2個という組み合わせで買ってきてほしい」とのこと。週に2回、ヘルパーが訪問しているが、1時間いくら、で頼んでいて他にやってもらいたいことがあってそっちを優先しているからコンビニに行ってもらう時間がない、だからコンビニまで行ってもらいたいんだとか。

食料調達を

 私に頼んで私が行けばタダである。こちらは交通費も手間もかかるが、それを払うとは言わないし、実費でさえ請求するのはしづらい雰囲気。一応近所に住む家主に様子を伝えると、「あら、だったら私が行きますよ。そんな用事で来てもらわなくていいですよ。午前中なら時間がありますから私が行ってきます」と言う。家主は元気ではあるが高齢だし、いくら自宅から200メートルの距離といっても申し訳ないし、そんなつもりで報告したわけではない。実はご主人は施設に入っていて、その日の午後は数日前に亡くなった息子さんのお通夜だったのだ。それでも行ってくださるという。後で入居者から聞いたのだが、入居者はおにぎりを届けてもらった際、「困ったことがあったら遠慮なくおっしゃってくださいね」と言われたそうだ。だからといってこれから直接家主に依頼することはないだろうけれど、真に受けられたら怖いものがある。

提案は拒否

 今までの規定の時間をオーバーしていてもサービスでコンビニに行ってくれていたヘルパーが買ってきてくれたおにぎりを一度に食べられる分を除いて冷凍にしているとのこと。ならばもっと多く買ってきてもらって冷凍しておけば何度もお使いを頼まれなくて済むのだが、どういう訳かその提案を拒否する。私としては、「何か面倒なことを依頼しても気持ちよく働いてくれるか」を試されているようで不快である。

(坂口有吉不動産・社長)

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