ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 178 ホームインスペクションに関する事例 日本不動産仲裁機構
住宅新報 2021年8月17日 号 9面
連載: ADRの現場から
現在日本では国策として中古住宅流通の活性化に取り組んでおり、今後この流通量は増加していくものと考えられます。しかし、中古住宅流通のリテラシーは十分に醸成されているとはいえず、物件売買においては少なからずトラブルが発生しています。そこで、トラブルをできるだけ未然に防ぐために制度化されたのが約3年前の18年4月に施行された改正宅地建物取引業法における「中古住宅取引の際のホームインスペクション(住宅診断)の説明義務化」です。これによって、買契約前の重要事項説明時などにおいて、取引の対象となる建物がホームインスペクションを受けた履歴があるか、または今後実施する意向があるかなどの説明を行わなければならなくなりました。今回は、ホームインスペクションを実施することによってトラブルが解決したという2つの事例を紹介します。
まずは、東京都内の築20年の戸建住宅を一般の売主より購入したA氏。購入から半年後、ベランダ表面部分に劣化が見られたため、防水のリフォームを業者に依頼したところ、ベランダ内部の腐食を指摘されました。仲介をした不動産会社B社に瑕疵ではないかと確認したところ、取り合ってくれない。また、売主C氏にもこの旨を伝えたが、こちらも取り合ってはくれないという状況。ここで、A氏はB社を被申立人とするADRによってこのトラブルを解決することを選択しました。
A氏の希望は、ベランダの修繕費用の約100万円について、瑕疵担保責任を理由として、B社もしくはC氏に負担してもらうこと。一方、B社及びC氏は、そもそも現状有姿での引き渡し契約のため、瑕疵担保責任は負わないという認識を持っていました。そして、話し合いが平行線を辿る中で、調停人がホームインスペクションの専門家を帯同し、A氏、B社及びC氏の立会いのもと住宅診断が行われました。
























