明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第395回 マンション街のランドスケープ 成長する植栽で住環境熟成
住宅新報 2021年8月3日 号 4面
【学生の目】
真夏と呼べる季節になった。汗をかきながら屋外で研究活動する中で興味深い景観を発見した(写真)。マンションの外構だが、2つの工夫が一般のマンションと異なる個性を感じさせる。1つ目は、ランドスケープの工夫によって空間に広がりと連続性を生み出していることだ。まず、敷地内に植栽帯をつくって道路と一体化している。境界線に塀を立てる場合と比較して空間に広がりが生まれる。また、歩道に近い位置の木の間隔を広くして連続性をなくさないようにしている。次に、植栽帯の地盤面の高さだ。こんもりとした丘のように小高くして、自然の感じを生み出している。水平面より広い法面が目に入ることで、植栽帯を広く、かつ、立体的に感じる。
2つ目は、樹種を工夫して景観に個性を生み出していることだ。植栽は街に緑を提供するだけでなく、マンション居住者のプライバシーを守る役割もある。一般のマンションは目線より高い位置まで木を密生させることが多い。しかし、密生した木の枝が道路にはみ出して圧迫感を与え、歩行者の進行方向の視界を遮ったり、体に触れたりする。結果的に有効に使える歩道が狭くなる。
工夫はまず、3列の植栽だ。道路に近い1列目は民有地であることを示す役割で、低木のため歩行者の進行方向の視線を遮ったり、体に触れたり、道路との連続性を遮断することがない。2列目は高木で街に多くの緑と日陰を提供する。少し奥まっているので、枝が歩行者の邪魔になることはない。3列目はプライバシーを保護する役割で、葉が密生する低木を小高い丘の高い位置に植え、目線の高さで茂らせている。奥まった位置で歩行者の邪魔にならず、マンションの日照を遮ることもない。
次に、異国情緒ある樹種だ。道路の街路樹に日本的な常緑照葉樹が単調に並ぶことと対照的に、植栽帯の樹種は多用で、南方系の木も交じっている。植栽帯に余裕があることもあって、海外に住んでいるように感じる。
令和元年現在、日本には665.5万戸のマンションがある(国土交通省)。既に空き家があることに加え、人口世帯が減少するから、マンションでも空き家問題が拡大する可能性が高い。日本では経年と共に建物の価値が低下する。経年と共に成長する植栽によって住環境を熟成させ、古くても魅力が高いマンションにすることが大切になっている。
【教員のコメント】
土地と建物に所有権と価格がある日本では、いずれでもない緑の価値の行き先がない。切ればなくなることも価格がない理由とされる。緑が持続する背景に所有者の価値観の共有がある。センスと管理のよい緑をマンションの価格に組み入れたい。























