ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 175 賃貸借トラブルと管理会社の関わり 日本不動産仲裁機構
住宅新報 2021年7月20日 号 9面
連載: ADRの現場から
法務大臣認証ADR機関である日本不動産仲裁機構に寄せられるトラブル相談の内容としては賃貸借に関するトラブル、中でも騒音や悪臭、水回りのつまりのトラブルが多くなっています。20年に民法が改正され、敷金や原状回復に関するルールが以前と比べて明確なものになり、その解釈に関わるトラブル相談も多くあるかと思われましたが、当機構においては少なく、多くの賃貸オーナーや不動産管理会社は民法改正についての知見をしっかりと持ち、契約書などを通じて消費者と共有していることが窺われます。
賃貸借に関するトラブル相談に訪れる消費者の中には、いわば「クレーマー」というレベルの相談をされる方も多くいます。一般的には気にするレベルではない物音であっても、ノイローゼ的に気になって騒ぎ立ててしまったり、また「大家さんから追い出された」と主張していても、話を聞いてみると自分から出て行ってしまっただけであったり。このような消費者のクレームに対しては、賃貸オーナーや不動産管理会社は、ある程度毅然とした態度で臨む必要があるでしょう。しかし、ただ「気にする必要はない」と言ったり全く取り合わなかったりするのは問題です。「寄り添いの姿勢」でしっかりと話を聞き、客観的に見て、本当に困っているかどうかを見極めることが大切なのです。
消費者の中にクレーマーがいる一方、不動産管理会社の対応のまずさによって顕在化してしまうトラブルも多くあります。トラブルの当事者となっている管理会社の中には、「オーナーは味方であり、入居者は敵」と捉えている会社があります。そのような不動産会社に管理を依頼しているオーナーはトラブルが発生することに拒否感を示すため、入居者からトラブルの相談があっても黙殺し、オーナーに苦情がいかないようにすることもあります。オーナーからすると、トラブルについての報告をしてこない管理会社が一番なのです。
もちろん、このような管理会社の姿勢は決して望ましいものではありません。本来、管理会社は「オーナーの窓口」であり、トラブルをせき止めるのではなく、共有し、ともに対策を検討する存在であるのです。管理会社がトラブルをもみ消してしまっても、結局、入居者が当機構などに相談に来てしまえば、トラブルはよりこじれた形でオーナーの耳に入ってしまうのです。
トラブルを未然に防ぐためには、オーナーが「自分がオーナーである」という認識を持ち、管理について関心を持つことが大切です。管理会社としては、賃貸経営に関心を示さないオーナーに対する指導やアドバイスをすることも必要でしょう。また、それをすることによってオーナーとの信頼関係も構築されていくと考えられます。
























