ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 172 貸主に起因するトラブル相談事例 日本不動産仲裁機構
住宅新報 2021年6月29日 号 10面
連載: ADRの現場から
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行され、6月15日から同法に基づいた賃貸住宅管理業者の登録制度が始まりました。この背景には、近年問題になっているサブリーストラブルがあり、オーナーをトラブルから守るという意味合いがあります。ここでいうトラブルとは、事業者によってオーナーがなんらかの損害を被ってしまうことを指していますが、決してオーナーは被害者的立場にばかりなるというわけではありません。相手が入居者という場面では、貸主という立場でトラブルを引き起こしてしまうこともあります。今回は、貸主がきっかけとなって発生したトラブル相談事例を紹介します。
まずは、欠陥のある物件に入居してしまったA氏です。入居する際の内見では分からなかったのですが、以前に住んでいた人の間違ったタイル張りが原因で、浴室の床に勾配がありませんでした。これによって入浴する度に水があふれ、大変な思いをすることとなってしまいました。この点について、入居初日からオーナーに苦情を入れたにもかかわらず、誠意のある対応もしてもらえず半年が経ってしまっていました。A氏は、なんとかオーナーに誠意のある対応をして欲しいと考えていました。
次は、アパートの賃貸中に貸主が死亡してしまったB氏です。B氏は木造二階建て長屋式アパートを借りていましたが、貸主が死亡後は、相続人と名乗る人に家賃を継続して納めていました。しかし、4年ほどたって2階部分に雨漏りが発生。B氏は相続人という人に相談をしましたが、「直接契約を交わしたわけではないので、修繕の義務はない」と取り合ってもらえませんでした。B氏は、そもそも相続人という人が本当に相続をしているか疑わしく思い、登記情報を調べましたが、建物が登記されておらず、持主も不明の状況でした。B氏は、まずは賃料を支払うべき相手が本当は誰であるのかはっきりさせた上で、今後について相続人という人と話し合いたいと考えていました。
























