「不特法」の未来(上) 一般社団法人不動産特定共同事業者協議会会長 蓮見 正純 地方創生にも貢献 多様な資金調達が可能
住宅新報 2021年6月29日 号 7面
不動産小口化やクラウドファンディングで注目を集めているのが不動産特定共同事業法(以下、不特法)です。この法律は、共同で不動産に出資し運用する仕組みで、投資家保護を目的に施行されました。過去幾度かの改正を経て活用しやすく透明性の高い制度となりました。更なる事業発展と適切な運営、官民一体となった相乗的な活動を視野に入れ、20年3月に不動産特定共同事業者協議会(以下、当協議会)を任意団体として設立し、長年の実績と経験を持つ当社・青山財産ネットワークスが会長会社となり、21年4月には一般社団法人化しています。
当社は、資産家向けに相続や事業承継等、財産の承継・運用・管理を行う総合財産コンサルティング会社です。不特法活用のきっかけは、一棟での購入が高額となる優良な不動産を個人でも持てるようにしてほしいというお客様の声でした。不特法の活用で現物不動産を小口化し、個人・法人含め幅広いお客様への提供が可能となりました。当社が02年より組成している小口化商品「ADVANTAGE CLUB」は、優良な都心不動産を1口1000万円より提供しています。お客様は1000万円から優良不動産を所有、分散投資でき、安定的な不動産収入が得られるため、好評をいただいています。
また、人口減少、少子高齢化等により特に地方では厳しい事業環境で、官あるいは民のみでの施設の建設・維持が難しくなっています。こうした背景の中で、石川県小松駅前再開発事業も実際に相談をいただきました。不特法の持つ資金調達の多様性を生かせば、図にあるように国・自治体、金融機関、施設から便益を受ける方、地元を応援したい資産家の方等、多種多様な資金を集められるので、必要な施設を建設できるのではないかと考え、検討がスタートしました。このような仕組みは日本では初めてで容易ではありませんでしたが、自治体、金融機関、投資家の方々が、「この事業を成功させたい」という強い思いで取り組んでいただいたお陰で、17年10月に無事竣工できました。官民連携の地方創生事業として、地元の方々をはじめ皆様が喜ばれました。
地方都市を中心とした駅前・市街地再開発事業のニーズは高まっており、現在は福井県敦賀市においても22年竣工に向け取り組んでいます。
このように、不特法は様々な場面で使いやすい制度となっています。持続可能な社会の実現が求められている今、不特法はその一つを担える制度です。これからは国・自治体との取組みだけでなく、民間の施設建設にも活用できます。当協議会を通じて、このような取組みが全国で活用され、世の中に必要な施設がより多く生まれ、社会の質が向上し、豊かな社会が実現していくことを願っています。
はすみ・まさずみ=青山財産ネットワークス代表取締役社長、事業承継ナビゲーター代表取締役社長、公認会計士、税理士 。慶應義塾大学商学部卒。83年青山監査法人に入所し、監査実務を経て株式公開業務、未公開および公開会社のオーナーの事業承継対策に従事。山田&パートナーズ会計事務所、三優監査法人を経て、96年にプロジェストを設立。08年に船井財産コンサルタンツ(現青山財産ネットワークス)とプロジェストホールディングスを経営統合。

























