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スタンダード会員限定ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 170 ペットとマンションに関する相談事例 日本不動産仲裁機構

住宅新報 2021年6月15日 号 9面

連載: ADRの現場から

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 最近はペットと暮らすために専用の設計で建てられる「ペット共生型物件」や通常賃貸の「ペット可」物件も増えています。このような物件は入居者ターゲットが明確であり、他物件との差別化のためにペット可物件を選択する賃貸オーナーも増えています。しかし、やはりペット可物件とはいえ、入居者のマナーによってはトラブルが発生する可能性もあります。今回は、ペットに関するトラブル事例を紹介します。

 まずは、原状回復の問題を抱えていたA氏です。A氏がオーナーを務めるマンションからある犬を飼っていた入居者が退去した後、他の部屋と比べ、壁紙破れや床に傷など、かなり室内が損壊された状態でした。A氏が原状回復費用を請求したところ、元入居者は「ペット可物件なのだから、ペットが物件に傷をつけてしまうのは当たり前。『物件の通常使用の範囲内』だから原状回復費用を支払う必要はない」と言われてしまいました。ここで、A氏は改めて「ペットがつける傷における通常の範囲」を確認したいと思い、公平公正な第三者同席の上、元入居者と話し合いの場を持ちたいと考えていました。

 次に、ペット可マンションを購入したB氏です。B氏の隣の家のペットの飼育方法に問題があり、臭気に悩まされていました。臭気があまりにもひどいので、管理会社から厳重に注意してもらったところ、以前の所有者(売主)からもクレームが入っていたことが判明しました。しかし、マンション購入時には、売主から隣人の問題は聞いておらず、契約書にも、「臭気はなし」となっており、売主のサインもありました。B氏は、臭気の問題がなかったらこのマンションを購入することはなかったとして、契約を不履行にしたいと考えました。そしてその前に、まずは売主と話し合って情報共有の上、共通の認識を持ち、トラブル解決への道のりを描きたいと考えていました。

 なお、国土交通省が実施している「マンション総合調査」では、ペットトラブルなどマンションで発生するトラブル解決においては、話し合いによって解決に至った事例がとても多く、ある年度では約80%が住民同士の話し合いで解決されたと報告されています。

 やはり、マンション内のトラブルのようにトラブルが収束した後も住み続け、互いに顔を合わせるケースが多い場合は、関係性にしこりを残したくないため、裁判のような勝ち負けを決めるのではなく、ADRのように話し合いによって互いに理解し合い、和解を目指す手段が選ばれるのでしょう。

 ●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013

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