ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 168 日本不動産仲裁機構 シックハウスに関する相談事例
住宅新報 2021年6月1日 号 9面
連載: ADRの現場から
今年は、梅雨入りが例年よりも早いということです。年間を通して最もカビやダニが発生しやすいのは梅雨時期であり、これはシックハウスの大きな原因の一つになります。不動産トラブルの中でも健康被害が出やすいシックハウスには特に注意が必要であるといえるでしょう。今回は、シックハウスに関する相談事例を紹介します。
まずは、内装業者とのトラブルになったA氏です。A氏は勉強や仕事をするためのパーソナルスペースをオープンしました。それに先立って、30年来の知人である内装業者に内装すべてを依頼しました。しかし、完成してみると手抜き工事がひどく、壁は直しても直してもボロボロとはがれ落ちてくるといった様子でした。
3カ月後、スペースの顧客から室内が甘い匂いがすると指摘を受けました。区役所に相談して、簡易検査の器具を借りて検査をしたところ、国の定めた基準より高い数値のホルムアルデヒドが検出されました。A氏は内装業者に損害賠償と、健康被害が出れば慰謝料も請求しようと考えていましたが、加えて長年の知人がなぜ手抜き工事をしたのか納得ができず、じっくり話し合いがしたいと考えていました。
次は、工事現場に体調不良を発生してしまったB氏です。B氏は山陰地方にある駅ビルの商業施設で、新規テナントの水周り工事を実施していたのですが、次第に、仕事ができないほど眉間と首の付け根が痛く、食べ物の匂いで吐き気を催してしまうようになってしまいました。B氏が診察を受けたところ、シックハウス症候群と診断され、更に仕事も続けることができなくなってしまいました。しばらくの間、休養が必要となったB氏は、所属していた建設事業者に補償を求めました。
裁判からADRへ
最後は、裁判を実施したが、話し合いによるトラブル解決に移行したいと考えたC氏です。
アレルギーを持つC氏はシックハウス対策が施された新築住宅を購入した際、家具についてはインテリアコーディネーターに発注を行っていました。しかし、この家具に使用されていたホルムアルデヒドによってシックハウス症候群を発症してしまいました。損害賠償を求めたC氏は裁判を起こしたのですが、担当弁護士がシックハウスの知識に明るくなく、どうもC氏の要望が伝わらないことが多く起こっていました。
C氏は、やはりシックハウスに強い専門家をアドバイザーとしてこのトラブルを解決したいと考え、相手方の同意のもと、裁判からシックハウスの専門家を調停人としたADRへの取り組みに変更したいと希望しました。その方が、C氏も相手方も、納得ができる帰着点に至れると考えたのです。
●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013
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