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スタンダード会員限定不動産市場異聞 大東建託賃貸未来研究所・AIDXラボ所長 麗澤大学経済学部客員教授 宗 健 第44回 コロナで住まいへの意識は変わったのか

住宅新報 2021年6月1日 号 7面

連載: 不動産市場異聞

売買・賃貸仲介
  • 不動産市場異聞 大東建託賃貸未来研究所・AIDXラボ所長 麗澤大学経済学部客員教授 宗 健 第44回 コロナで住まいへの意識は変わったのか

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 新型コロナの影響で地方や郊外の人気が上がる、という論調はずいぶん減って、不動産市場への見方も冷静なものが増えてきたようだ。それでも、コロナによるテレワークの拡大などで住まいへの意識は変わったという意見もある。

 本稿では3回目となった「いい部屋ネット街の住みここち&住みたい街ランキング2021<首都圏版>」の結果から、コロナで住まいへの意識がどのように変わったのかを解説したい。

「住みここち」も「住みたい」も大きな変動なし

 住みここち駅、住みここち自治体、住みたい駅、住みたい自治体のそれぞれのランキングを見ると、トップ10圏外から上位にランクインした場所は皆無で、その顔ぶれは前年とほとんど変わっていない。

 住みここち駅の1位にはみなとみらいが初登場1位となっているが、これは前年まで回答者数が30名に満たなかったためランキング対象外となっていたためである。そのほか住みたい駅の5位に前年9位の大宮が、前年3位の恵比寿が今回は6位に順位を下げている程度の変化しかない。

 結局、居住者による地域評価である「住みここち」も、イメージや憧れとしての「住みたい街」もコロナの影響はほとんど見られないということである。

「住みここち」順位

回答者属性で異なる

 2021年の首都圏版では、持ち家と賃貸、世帯年収、年齢等による集計も行っているが、「住みここち」は回答者の属性によって順位がかなり異なる。

 全体的には、みなとみらいや築地・新富町、広尾といった総合上位の街は、持ち家で世帯年収が高い層からの支持が強い傾向が見られ、賃貸では総合順位では上位でない街もランクインしている。ランキング上位の街の家賃や不動産価格を考えれば当然のこととも言える。

 一方で「住みたい街」では年齢等によって多少の違いはあるものの順位に大きな変動はない。

 これは「住みたい街」への投票が、実際に引っ越すことを前提にしているというよりも、制約条件がなければ住んでみたいという人気投票であることを強く示唆している。実際、住みたい街に住んでいない理由では、「家賃が高い」「不動産価格が高い」といった回答が多く見られる。

最大の変化は「今住んでいる場所」の再発見

 住みここちランキングとは別に、筆者が企画・設計・分析を行った「新型コロナウイルスによる意識変化調査」の結果を見ると、「コロナをきっかけに今住んでいる街が良いと思うようになった」という回答は70%前後と非常に多く、「コロナをきっかけに住みたいと思っていた街が変わった」という回答の13%程度を圧倒している。

 同じように住みたい街ランキングでも、住みたい駅について「特にない」という回答は、2020年の39.5%が2021年には42.3%に、「今住んでいる街」という回答は、2020年の12.9%が2021年には17.8%とそれぞれ上昇している。

 ここから分かるのは、コロナによって最も変わった住まいへの意識とは「今住んでいる場所」の再発見であることだ。

 テレワークや時差出勤等によって、いままでいなかった平日昼間に住んでいる街を歩いたり、オフィス近辺ではなく自宅近辺に飲みに行ったり、といった小さな日常の変化が、住まいへの意識を最も大きく変えた可能性があるのである。

 そうたけし‥87年九州工業大学卒、リクルート入社。リクルートフォレントインシュア社長、リクルート住まい研究所長を経て現職。筑波大学博士(社会工学)・ITストラテジスト

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